5th STAGE - 8/8
序盤、平湯峠への長い登り道を中村の引く集団が行く。10km地点で小嶋、庄司がペースを上げ集団がばらけ始める。後ろから中村、東後が追い付き4人の先頭集団を形成。傾斜の緩くなったところで東後、小嶋がアタックをかけ二人を引き離した。
旧道に入り傾斜がきつくなると中村が追い上げるが届かず、平湯峠を小嶋・東後の順で通過する。その後、下りでも差を広げ東後・小嶋の二人の逃げが続く。去年に引き続き、じわじわと総合順位を上げてくる庄司が4位通過。後方では平湯峠を6位通過の小山が下りで落車し、前輪を破損。そのまま強引に走り、安房峠の上りでようやく代輪に交換した。
その後、大きな動きのないままレースは進み安房峠も小嶋、東後の順で通過。以下中村、庄司、藤田、小山、篠塚と続く。前日リタイアし、この日も出走するか迷ったという篠塚だったが、最終日にして気迫の走りを見せ、上位をうかがえる位置につけていた。
上高地乗鞍林道に入り、小嶋・東後の2名がなおも先頭で逃げ続けるが、白骨温泉で小嶋が前後輪を同時にパンク。先頭は東後一人となる。この日だけたまたまチューブを2本持っていたという小嶋、これ以上ないという早さでパンク修理に掛かるがその間に中村に抜かされ、トップ東後と5分の差が開いてしまう。最終ステージをなんとしてでもものにしたい小嶋。14分差で総合3位につける中村にも先行され、ここからもの凄い追走を開始した。乗鞍岳への登りに入り、足が売り切れたという東後に中村がぐんぐん迫る。そしてその中村にさえ小嶋はぐんぐんと迫っていった。乗鞍中腹で一度3人は固まり、そのまま東後は抜き去られていく。追い付かれた小嶋にしばし中村もついて行くが、しばらくして千切れ、小嶋が優勝への独走を開始した。
小嶋、中村に1分25秒の差を付け優勝。と同時に、総合優勝に輝いた。ステージタイム4時間1分20秒は、昨年同コースで行われた第5ステージ、桜井の優勝タイム4時間15分を大きく上回るタイムだった。後方では車輪を交換した小山がまたも追い上げを見せ、東後を抜き去り3位でゴールした。
小嶋が辿り着いてから1時間53分。連日最後尾をただ一人走り続けた林がゴールした。何度もやめようかと思ったという林だったが、ゴール後、「今自分にこれ以上のことはできない」と達成感に浸る姿が印象的だった。