2nd STAGE - 8/16 Thu.
アタック炸裂で幕が開けた怒濤の第2ステージ。 小嶋、意地の独走でリーダージャージを守り抜く!
午前7時、スタート地点の木曽福島町は夏の信州らしい爽やかな陽気に包まれた。しかし陽射しは強くアスファルトからの照り返しも強い。
大会3日目、第2ステージの舞台となる峠は5つ。スタートからいきなり8kmの登りが展開する地蔵峠、メリハリがないものの足に応える長峰峠、「ああ野麦峠」で知られる野麦峠、リゾートのメッカにふさわしい景観を駆け上がる白樺峠、そして全国からサイクリストがやって来るメッカであり、今日最後の峠にして最も厳しいカテゴリー超級の乗鞍峠である。109kmという総距離に意味はないだろう。高低図にあるように、畳み掛ける峠の数とアップダウンの激しさが今日のコースの厳しさを物語っている。
定刻の7時、昨日の事故で欠場となった笹井(フーバーネットワーク)を除く24名の選手が静かにスタートしていった。と、途端に唐木(筑波大)が弾けるように集団から飛び出した。スタート直後、息を整える間も無い奇襲攻撃である。「策略通りですよ。狙いですか?もちろんビデオに映るためです!」(唐木)。唐木のアタックで序盤から騒然となった集団。2kmの独走を終えて唐木が集団に吸収されるや否や、唐木に触発されたのか勢いづいた松井(京大)が今度はアタック、さらに矢澤(京大BOMB)やリーダーの小嶋(京大)、総合2位の山根も反応。一気に4名による先頭集団が形成された。しかし峠手前で松井は失速。後ろから町田が力強い走りで追い上げてくる。
序盤にも関わらず激しいアタックの応酬に「こんなに早い展開とは計算違いだった」と小嶋。しかし地蔵峠トップをしっかりゲット。2位は山根、3位町田、4位に矢澤となる。
長峰峠に至るアップダウンでトップは再びグループとなり、「小嶋を最初に疲労困憊させてやろうと動いた」という矢澤が果敢に前に飛び出る。矢澤の画策通り小嶋、さらに山根、続いて藤田も反応し、結果、出来上がったトップグループはローテーションを繰り返しながら長峰峠の登りへと突入。後方では30秒の差で町田(埼玉大)、寺本(ペアラ)、松村(京大)、吉田(阪大)らがトップを追走。今シーズン、10kgものダイエットでヒルクライム対策に成功した町田が急勾配で飛び出すが、なかなか先頭に届かず下りで再び後方に吸収されてしまう。
長峰峠はまたも小嶋が激しいスパートで先頭通過。それを山根、続いて藤田が追随。この3位までの順位はラストまで続くこととなった。長峰からの下りで再び小島、山根、藤田、矢澤がグループとなり、そのまま野麦峠の登りに差し掛かった。
小嶋、山根、藤田、矢澤の4名からまず矢澤が昼食タイムで脱落。後方では松村、山岸、吉田、寺本がしのぎを削る。さらに後ろでは渡邊(哲.京大)が必死の猛追を板東、紫芝、渋谷、町田らがグループで追走している。トップグループを追う選手内では寺本が特製緑茶ボトルを手に消耗が少ない様子。
69.5km、乗鞍林道入り口のチェックポイントに差し掛かった。トップ小嶋、2分10秒差で山根、さらに2分開いて藤田、続いて3分後に渡邊(哲)、町田、吉田、松村が到着。チェックポイントを通過後は「ナべちゃんに勝つなら今日しかない!」と松村がスパークし、渡邊をかわして前に出る。
後半戦に入り、白樺峠に差し掛かった。補給を渡すスタッフに「もう足終わっちゃいました」と山根。小嶋も序盤の消耗でかなりの困憊ぶりだ。しかし、白樺峠も独走のまま小嶋が首位通過。あとは乗鞍へ。
スケールの大きな景色、高々と連なる林道に観光カーが長々と渋滞を作る。車と車をすり抜けるように小嶋がラストスパートをかける。そして、先導オフィシャルカーが峠へ到達するのに間に合わぬまま、小嶋が最後の力を振り絞って、乗鞍の頂点に到達した。2位は14分差で山根、 3位は藤田となった。また、終盤に驚異の追い上げを見せた寺本が4位に入った。