1st STAGE - 8/13 Sat.
8/13 Sat.
磐田市-天竜スーパー林道-兵越峠-南信濃村-赤石峠 116.7km
白石(シマノドリンキング)、強し! 昨年の覇者、小嶋を抑え最初のステージを制す!
早朝5時、すでに何名もの選手が目を覚まし歯磨きや洗面を始めている。ツール・ド・信州2005大会2日目。ステージ初日を目前に、チームサポート員も各チームカーで機材補給の準備に余念がない。一瞬、ばらばらと小雨が降りかけたが、何とか空は曇り空のまま落ち着いている。
出走時間がせまってきた。個性とりどりののチームジャージに身をまとった選手らが宿舎駐車場のスタート地点に集まり、サインシートを埋め始めた。74名もの選手が集まれば壮観だ。プロローグを制した山根の白いリーダージャージが光る。
今年は全ての選手に対して自チームのサポートがなければ参加できない、という条件が設けられたため、選手らは最少1名、最大8名によるチーム構成での参加となった。中には今大会のために結成された混成チームカーもある。そのためこれまでにない数のチームカーが大会に集まり、一大キャラバンの様子は圧巻だ。
2005年大会の第1ステージは、静岡県、しかも海抜0mに近い磐田からのスタートになり、過去に例をみない南部地域からのスタートである。キャラバンは昨日のプロローグのコースから天竜川ぞいを走り、その後、約80kmにおよぶ天竜スーパー林道をひた走る。第1ステージのコースの大半をしめる天竜スーパー林道はかつてダートだったが、最近になってようやく全舗装されたため、今年になって初めて大会のコースに採用された。
スタートからスーパー林道を抜け、県境を越えて長野県南信濃村へとひたすら北上する約108kmのコースは、序盤19kmほどは国道を走るためパレードをおこない、最初の山岳ポイントの秋葉山入り口から正式スタートの形を取る。正式スタートから一気に標高差750mを駆け上るカテゴリー1級の秋葉山が、今大会最初の勝者をうらなう登りとなることは必至だ。
昨年、2年のブランクを経て信州復活を果たし、見事な優勝をかちとった小嶋(Team-Comrade.com)が今年も強さを見せつけるか。現在、MTBエリートで活躍しランキング4位で調子を上げ続けている白石(シマノドリンキング)が昨年のリベンジを果たすか、あるいは信州に出なかった空白期間、フランスでの自転車遠征など海外での走りを経験した山根(TeamYOUCANスペシャライズド)がリーダージャージを守り抜くか、はたまた昨年総合上位の高坂や奈良らHOT STAFFのミドルエイジパワーが若手に渇を入れるのか。さらには新しく出場してきた知られざるヒーローが74名の中に潜んでいるのか、最初の攻防に目が離せない。
午前7時、定刻どおりスタート。いよいよ山岳ステージの始まりだ。とはいっても国道を走行する間はパレード走行。一般車両の邪魔にならぬよう選手らは一列になり礼儀正しく走っている。そのためもあって、前方から最後尾の選手まで2~3kmほど間が開いてしまう。さらに後方にいたKUCCの選手がパンクをし、パレード終了地点の19kmポイント、天竜スーパー林道入り口では前方の選手が自転車をおりてしばし待機することになった。
パンク修理を終えた選手と共に最後尾がやってきた。選手団は態勢を整え再度カウントダウンの後で一斉にスタート。目指すは8km先の秋葉山の山岳ポイントだ。
パレード解除直後、待ち構えていたように山根、小嶋、春原(シマノドリンキング)がダッシュ。白石、田端(BM SPACE)、高梨(なるしまフレンド)らも続く。さらに稲益(KUCC)、稲田(大阪産業大学)といった若手の学生選手も威勢よく前に出ている。さらにHOT STAFF勢も続く。しょっぱなから威勢よく飛び出した選手らの一方で、バラけた集団からは早くも苦しそうな表情で遅れ始めた選手が出てきている。長い旅の始まりだ。
1kmほど登り、勾配が一気に急になったところで白石が先行し始めた。それに山根が反応。5~10mほど後ろに小嶋、田端が続く。白石に付いていた山根が遅れをとり、小嶋、田端と順位を入れ替える。ここで後ろに続いていた高坂がのっけから前輪パンク!おまけにサポートカーのダッジラムの後輪がパンク!高坂はパンクで5分のロス、さらにサポートカーは15分のロスとなってしまった。
後方の喧騒をふりきるように走る白石。山岳ポイントまで2kmのところで追走する2名から田端のほうが先行し、白石に追い付いた。小嶋は急坂で調子が上がらないのか、前方2名と徐々に距離をあけ、峠の目前では1分30秒以上もの差がついてしまった。
27km秋葉山・カテゴリー1級
白石--13s--田端---小嶋(2m+top)---秋山(Teammasahikomifune.com)、山根、高梨、山本(チームニルス)、稲田(大産大)、稲益(KUCC)---
秋葉山を越え、稜線沿いの細かいアップダウンに差し掛かった選手たち。徐々に落石が道にゴロゴロと転がる悪路が増えてきた。共に下っていた田端を再び白石が退け単独先行。後方に小嶋、秋山が続く。気付くと5位、6位、7位あたりにつけていた選手が見当たらない!リーダーの山根や高梨、山本らは山頂にある神社の駐車場へのわき道に入ってしまいコースアウトで遅れを取ってしまったようだ。
鬱蒼と木々の茂る林道をひたすら走る選手ら。白石、そして目の見える範囲で田端が続く。スタートからちょうど2時間、40km地点を過ぎたところで小嶋と秋山のコンビは白石から2分40秒もの差がついてしまった。そして木下、稲益、杉山、奈良、高坂、谷(HOT STAFF)、山根と続く。
40km地点
白石--田端--小嶋、秋山(2m40s+TOP)--木下、稲益--杉山、奈良、高坂、谷、山根、遠藤(BM SPACE)、高橋(なるしまフレンド)、矢澤(BM SPACE)、伊藤誠(BM SPACE)、山崎(坂バカ日誌)、都築(Verdad)
山岳カテゴリーには設定されていない山住峠にさしかかった。傾斜が若干ゆるくなったところでトップ白石と田端めがけて小嶋が秋山を置いて猛烈な追い上げを仕掛けてきた。徐々に小嶋との差を縮め始めた小嶋。
しかし小嶋に不運が!下りでパンクをしてしまったものの、幸い近くにサポートカーがいたため代輪をすぐに交換。不幸中の幸いだったが、その後、小嶋の追い上げによるタイム差の縮まりをオフィシャルカーから聞いた白石も徐々にペースアップを図る。
土砂崩れや落石で道のいたるところに石がゴロゴロと転がっている。小嶋のみならず次から次へとパンクが発生し、道端にはどんどんパンク修理のために立ち往生する選手が続出してきた。
目も覆いたくなるような悪路が続くなか、とうとう白石にもパンクの魔の手が!代輪交換する間に遂に小嶋が白石と合流。白石の復帰を田端と共に待ち、3名がひとまとまりになった。後方には秋山、木下らが続いている。
一方、彼らの後方でグループを形成し、ペースアップを図って追走を繰り広げていた山根、高梨、奈良、高坂、遠藤らの集団は、クルマのパンクから復活したHOT STAFFのサポートカーによって効率よくサポートを受けつつ水窪ダムからの下りにさしかかっていた。しかし苔むした路面でグループごと大落車してしまう!擦過傷を作りながらもマシンを整え復帰した彼らだが、山根が前に独り先行してしまい、高坂、奈良とそれぞれに遅れ辛い独走態勢になってしまった。まさに痛い打撃だ。
落車を機に独り先行した山根は、前から遅れてきた木下と合流。次第に木下をもしりぞけ、4位に躍り出た。
ラストからふたつめの峠、カテゴリー2級の兵越峠にさしかかった。依然として3人で走る白石、田端、小嶋。ここで、小嶋が一気に前に出ようとスパートをかける。しかし白石が小嶋を逃すことなくガッチリ反応、今度は白石が仕掛けたところ、小嶋は付いてこれない。とうとう白石が小嶋に決定的なアタックを決めてしまった。2人の応酬に田端は「必死で付いてきたが、彼らの戦いは強烈で、とうとう切れてしまった」。
残り10kmを切った。最後の赤石峠(カテゴリー2級)に入った白石も、急坂をものともせず軽やかに前進していく。背後にはもう小嶋の姿は見えない。むしろタイムは開いていく一方である。「最近仕事が忙しくて練習もままならなかったのに・・・不思議ですね」(白石)。
厳しい表情で最後の峠を登る小嶋。続いて田端が懸命に走る。と、その背後に落車から弾みをつけたかのようにペースを上げた山根が田端の視界に入ってきた!「見つかったとたんに、田端くんがペースを上げたんですよ」(山根)。ラスト、軽く片手を上げてガッツポーズをした白石が余裕?の表情でフィニッシュ。小嶋は「だめだー」とつぶやきながらゴール。続いて、2人の攻防に付いて見事な走りを見せた田端がゴール。昨年レース活動を休止していた田端、今年BR-3から再スタートを切ったところというのにヒルクライムレースを中心にメキメキと頭角を表わし、信州に新たな風をもたらした。
ツール・ド・信州2005の最初の山岳ステージは、激しいパンクと落車に襲われ選手に大きな疲労とダメージをもたらした。明日からの展開がどうなるか、まだまだ分からないところだ。