3rd STAGE - 8/15 Tue.
8/15 Tue.
草津温泉-渋峠-笠ヶ岳-須坂-菅平高原-鳥居峠-地蔵峠-車坂峠 128.3km
大会3日目、5つの山岳。最長コース133kmの戦いはアタック合戦で始まった。 小嶋(Team-Comrade.com)、リーダージャージを守り抜く!
草津温泉の格安旅館で合宿さながらの夜を過ごした大会メンバー。スタート地点に集まってきた選手たちの多くは、蓄積した疲労のせいで足どりも表情も重い。しかし夜中に降った大雨のおかげで朝は快晴。体調不良や膝の痛みでDNSとなった2名を差し引いた50名が出走シートにサインをし、旅館前をスタート。
スタート5分後、パレードが解除され正式スタート。第3ステージは前日のラストに走った渋峠を反対側から登り、進路を西にとって笠ケ岳から須坂市へ下り、菅平、地蔵峠を経て小諸に至り、最後はカテゴリー超級の車坂峠を目指す今大会最長。長いコースだけに序盤は静かな走りになるかと思いきや、田端(spacebikes.com)や小島(Team FITTE)、竹林(チームエコサイ)がいきなりアタック。とりわけ田端が果敢に出るなか、昨日、ひとつめの峠を制し「もう走れない」と言っていた木下が小気味よく前に飛び出した。
渋峠への登りは、目を見張らんばかり、いや、開いた口がふさがらんばかりの絶景。快晴の青空に山々の稜線がくっきりと映え、幻想的な白い雲海が視界かなたに輝いている。そんななか、木下は全開の走りで独走。田端、小嶋(Team-Comrade.com)、白石(シマノドリンキング)の3人が45秒差で追走。その後ろに山根(TEAM YOUCANスペシャライズド)、春原(シマノドリンキング)、関根(サイクルハウスジロcannondale)が続く。
木下を追う白石、田端から早くもリーダージャージの小嶋が遅れはじめた。「身体がまだ目覚めていなかった」。後半になり白石が勢いを上げて田端を振り切り2位に浮上。木下の背中は30m先まで近くなるが、木下は粘り強くスピードを維持。今大会、各ステージのひとつめの峠には「山岸賞」(提供者である大会のOB名を冠した賞)が設定されているが、この日の賞品の「ポンプが欲しい!」気持ちが木下を頑張らせたようだ。ギリギリまで力を出し切った表情で木下が渋峠をトップ通過!その後、白石が単独通過、田端が追い付いてきた小嶋と共にやってきた。
渋峠
木下---白石(1m+top)---田端、小嶋(1m20s+top)---山根(2m30s+top)---関根、稲益(KUCC)---奈良(チバポンズかわぐち農園)--松本(KUCC)--春原(シマノドリンキング)、伊藤(KUCC)--山本(チバポンズかわぐち農園)---
下りに入って木下、白石に猛烈な勢いで田端をかわした小嶋が合流。山根らも追い付いてきた。そんな折、次々に下っていく選手のなかで、斉藤(サイクルハウスジロcannondale)が対向車とぶつかり怪我を負い、救急車に搬送されるアクシデントが発生。幸い骨折などはないものの、打撲によって肩の関節を傷め斉藤は大会欠場となった。
ふたつめの山岳ポイントである笠ケ岳への登り口、淡々と登り始めたトップ集団。そこから山根が先行し始め、独走態勢になった。ピークに近付いた頃に白石がせまってくるも山根がトップ通過。初めての山岳ポイント1位である。
笠ケ岳
山根---白石---田端--小嶋--木下--関根--稲益--秋山-----
須坂への長い下りが始まった。山根らトップは下りで再びひとまとまりになり、後方でも第2集団が形成された。暑さ厳しい下界に到達し、大笹街道を南下して3つめの山岳ポイント、菅平高原への登りに差し掛かった。ふたつに分かれた集団で登りに突入した選手らから田端が先行。そこに小嶋が反応するが、田端が小嶋をふりきって独走態勢に入る。過去の大会では常に小嶋が先行し続ける風景が毎日のように見られたが、今年は違う。田端を追走し、次は山根が、さらに関根も続くがピークは結局、田端が3人に1分20秒差をつけてトップを守った。その後ろにはKUCCの稲益、続いて白石、奈良が続いてくる。
菅平高原
田端 --- 小嶋、山根、関根(1m20s+top)--- 稲益、白石(3m10s+top)--- 奈良、秋山 --- 伊藤 --- 都築 ---
単独で峠から下り切った田端だが、「その後の平坦を考えると集団のほうがいい」という小嶋の思惑通り、鳥居峠の前で小嶋、山根、関根が田端をとらえて先頭は再び4名に。後方には稲益と白石が走行していたが「(世界選手権前の)調整もあってペースを落とした」白石が後方から来た伊藤、奈良、都築ら7名に飲み込まれた。
98km地点を通過、地蔵峠までの登りを淡々と走るトップ4名。小島が断続的にアタックを仕掛けるも、3人も小嶋を逃さず、時にお喋りをまじえながらタイミングをうかがっている。しかし峠の手前になるとやはり小嶋がスパートをかけ、地蔵峠を単独通過。山根、田端、関根の順で続いていく。第2グループ通過時には、白石と奈良が激しい5位争いを繰り広げ、白石が奈良をかわした。
地蔵峠
小嶋 --- 山根、田端、関根(25s+top)--- 白石、奈良、都築、織田、稲益、伊藤、山本、秋山 ---
地蔵峠からの長い下りで小嶋に山根、関根は追い付いたが、慎重に下る田端が離れてしまった。いよいよ今ステージ最後の舞台にして最大の難関、カテゴリー超級の車坂峠に向けて長い平坦路をひた走るトップ達。調子を上げる山根か、関根か、今日も小嶋か。しかし第2集団からは白石と都築がペアを組んでスピードを上げ始めた。調整ペースとはいうものの、白石は最後の峠に向けて本気モードにスイッチを入れ替えたらしい。小諸市に入り、車坂峠への登り口の手前で遂に白石は都築を置き去り、ラストスパートを開始した。
小嶋、山根、関根の順で車坂峠の登りに突入したトップ。3人を追う田端だったが、序盤のアタックと菅平高原でのトップ通過で脚を使ってしまったようだ。後方から猛追してきた白石にかわされてしまった。
そのまま勢いに乗った白石は関根、さらには山根をかわし、遂にトップの小嶋の背中めがけて激しい蛇行をしながらもどんどん激坂を突き進む。霧雨の車坂。ラスト5kmで小嶋との差は2分。白石を気にする小嶋だが、タイム差を聞き「このペースならいけるはず」と顔色を変えず登っていく。序盤の不振が昔のことのようだ。白石の後方には関根、その後ろに山根が最後の力を振り絞っている。
スタートから5時間31分20秒が経過した。霧雨模様から、徐々に空が明るくなってきたピークに赤いTeam-Comrade.comパンツのリーダージャージが飛び込んできた。小嶋と1分40秒差までつめた白石が2位に入った。白石の1分1秒後に関根、2分11秒後で山根、その1分6秒後に田端とバラバラにフィニッシュ。4名のリタイヤ選手が出て、46名の選手が完走した。今大会、唯一の女性参加である森涼子選手(KUCC)はトップから1時間39分差で今日も完走。明日、トップとの差2時間以内で走りぬけば女性で初めての完走の快挙となる。
小諸市の旅館、「常盤館」でゆったりと最後の夜を過ごす選手たち。いよいよ明日は最終日、第4ステージを迎える。「総合では白石と10分57秒しか開いていない。まだ、何かあればひっくり返される」と小嶋が言う通り、最後の戦いに目が離せない。明日は大会では、なじみのコースである風光明媚なビーナスラインをひた走り、王ケ頭でファイナルを迎える。