2nd STAGE - 8/14 Mon.
8/14 Mon.
新井-関田峠-野沢温泉-奥志賀林道-渋峠-白根山 119km
白石(シマノドリンキング)、遂に本領発揮。小嶋(Team-Comrade.com)を抑え波乱のステージで勝利を手に!
前夜、島よりフェリーで直江津に上陸したキャラバンは、新潟県新井市のビジネスホテルに宿泊し、大会3日目の朝を迎えた。のどかな佐渡でのスタートとはうってかわって、車の往来激しい国道からのスタートだ。昨夜の暑さで体調を落とした松井(シマノドリンキング)がDNSとなり、52名の出走。早くも日差しは強く、気温はどんどん上がる気配を見せている。いよいよ長野との県境を越え、奥志賀から渋峠、白根山を目指す第2ステージ。4つの山岳ポイントが選手を待ち受ける厳しい一日の始まりだ。
午前7時、国道292号をパレードスタート。山手に入り、色づき始めた田んぼが輝く風景をひた走る。5.5km地点、光ケ原高原に向けてパレードが解除。いきなり予言どおりTeam FITTEの小島が後方から飛び出した。昨日はメカトラで代車に乗りスニーカーでの走行を余儀なくされた小島だが、明るく元気なアタックで集団を賑わした。集団前に位置していた小嶋(Team-Comrade.com)と田端(spacebikes.com)が小島と共に前に出て、そのまま今度は田端が単独で80mほど先行。昨年よりさらに積極性の増す走りが光る。背後から白石(シマノドリンキング)も上がってくる。
スタートから30分、ひとつめの山岳ポイントは20km地点にある関田峠。朝っぱらからカテゴリー超級が選手を待ち構えている。10km地点を過ぎて今度は木下(Team-Comrade.com)が飛び出した。次に続く小嶋、田端、白石に一気に150mほど差を付けグイグイと登っていく。リーダージャージを守るためのTeam-Comrade.comの戦略だろうか。後方を振り返りながらもスピードを落とすことなく木下は疾走。集団からは吉野(チームオーベスト)や織田(Team-Comrade.com)が後に続く。「きのう両輪パンクに見舞われてしまった」という吉野。今日は快調な出だしである。
見通しの良い草原、風車や山小屋が点在する光ケ原高原を通過。峠まで残り4kmを残すも依然として木下が独走するが、やや表情は疲れてきている。「傾斜はこんなもんですか?」と気にする木下にいきなり簡易舗装の激坂が襲い掛かった。まもなく峠がせまろうとするなか、後方からは木下の背中めがけて先輩の小嶋がひとりで追い付いてきた。20秒後ろには田端、白石もせまってきている。「ごくろう!」という声かけと共に小嶋が木下を伴い峠に突き進み、関田峠をComradeペアがトップ通過。木下が山岳超級1位をゲットした。
関田峠
木下、小嶋---田端、白石(18s+top)---吉野(1m40s+top)---渡邊(ナカガワAS K’デザイン)、松本(KUCC)、織田---奈良、秋山(2m+top)---
関田峠から下ること10km、その間、例年になく慎重に下る小嶋ら上位を後方からの選手が飲み込み、野沢温泉村に向かう国道ではトップ集団が形成された。メンバーは小嶋、木下、田端、秋山、渡邊、吉野、山根(YOU CANスペシャライズドNISSYO)、松本、関根(サイクルハウスジロcannondale)、そして「(先頭に)追い付けた!嬉しい」と笑顔を浮かべる白石の10名。その後さらに織田、奈良、都築(Verdad)が追い付き13名が隊列となって野沢温泉スキー場を目指し始めた。
41km地点を過ぎ、ゲレンデに差し掛かったところで木下が徐々に遅れてきた。「売り切れ?」というスタッフの声かけに発奮したのか、小康状態になりかけていた集団前方に一気に上がっていき、またも独走を始めた!続く登りと木下の再度のアタックに集団の分断が進み、独走の木下、20秒差で小嶋と吉野、40秒差で田端、やや遅れて山根、そして奈良が続いていく。
しかしふたつめの山岳ポイント、大次郎山への登りは長い。ピークまで7~8kmあたりでトップを小嶋と吉野に譲り、木下の脚は売り切れた。2人の後方では田端、山根、奈良、白石が4人ひとまとまり。その後ろでも秋山、松本、織田、関根がまとまってトップを追走。3つめの山岳ポイント、大次郎山は本日快走の吉野が小嶋を従えて1位で通貨した。3位争いの4名はスピードを上げての通過。
大次郎山
吉野、小嶋---白石、奈良、山根、田端(1m30s+top)---秋山、松本、織田、関根(2m55+top)---渡邊、木下(4m15s)---
大次郎山からの下り、小嶋はトイレタイムで遅れをとり、吉野が単独でトップに出た。小嶋は遅れを取り戻そうとするも車にはばまれたが、なんとか吉野に追い付くも3位グループに吸収されてしまった。振り出しに戻ったかのような81km地点。奥志賀の雄大な景色をひた走る選手ら。数えて3つめの高天ケ原の山岳ポイントへの登りで小嶋が集団を振り切り前に出た。それを追う白石。「うかつに小嶋の前に出るとペースが乱されるからまずは様子見で」という言葉通り、2番手で虎視眈々と追走する。93.8km、リゾート客で賑わうホテルぞいの通りに設けられた山岳ポイントは小嶋が独走で通過。12秒差で白石、2分15秒開いて田端と奈良、その1分半後に吉野、20秒遅れて山根、そして都築が通過していく。
高天ケ原
小嶋--白石(+12S)---田端、奈良(2m25s+top)---吉野(4m05s+top)--山根(4m25s+top)--都築---
残すところ渋峠と最後の100mアップの白根山を目指すのみとなった。白石が小嶋をとらえ、2人のバトルが始まった。ボルテージが高まった白石、オフィシャルカーから水を受け取った小嶋をよそめに白石は集中力を高め前だけを見据えている。3番手の田端、奈良とは3分の差。ヘアピンごとに力強いダンシングを見せる白石。ピークまで残り4kmの地点で遂に小嶋を引き離して一気に先行。小嶋に30秒差を付け渋峠を駆け抜け最後の白根山への短いアップダウンへと飛び出していった。
しかしその後、予期せぬアクシデントに見舞われたキャラバン。例年になく観光客で賑わう白根山手前の渋滞に巻き込まれたオフィシャルカーが白石に遅れ、先を行く白石はフィニッシュ地点に設定されている駐車場入口に登り切る手前で「ゴールがどこか不安になり」引き返して小嶋と合流してしまった。オフィシャルカーにうながされ、ラスト数百メートルを2人で走り1秒差で白石、小嶋の順にフィニッシュ。「30秒ものロス!」と悔しさをあらわにする白石だったが、誰もが認める最後の快進撃で、明日以降のリーダー奪取に希望を繋げた。
白石、小嶋のフィニッシュ後は8分47秒差で田端が、続いて奈良が4位、そして5位には前日のパンクの不運をはねのけ本来の走りを見せることができた吉野が入った。実業団ではBR2ながら「自分のペースで登れるヒルクライムでは実力発揮できる」と信州のコースに手ごたえを感じたようだ。明日からも楽しみである。
残すところ2ステージ。小嶋との総合時間差9分17秒の白石は、明日どんな走りを見せるのか。草津温泉の夜を経て、第3ステージは菅平高原から小諸市を目指す。