1st STAGE - 8/13 Sun.
8/13 Sun.
両津-ドンデン山-大佐渡スカイライン 111km
せまりくるドンデン山と佐渡金山!初の佐渡島ステージに53名が挑戦。 リーダー、小嶋(Team-Comrade.com)が総合優勝に向け先制勝利!
朝6時過ぎ、佐渡汽船両津港フェリーターミナルにほど近い役場前駐車場にチームカーが集まってきた。前夜、4つに分かれた宿で地元の海の幸を満喫した選手たち。宿で着替えをすませ、駐車場周辺の道でウォーミングアップを始めている。緊張の面持ちの初参加者もいれば、いつまでも談笑するなじみの選手もいる。チームサポーター達は機材や補給食、飲料の準備に忙しそうだ。海風のなか、見慣れたツールの光景が広がった。
定刻7時、白いリーダージャージを身にまとった小嶋(Team-Comrade.com)を先頭に、スタート。はじめの5kmほどは市街地の平坦路が続くためにパレード走行。宿泊したシーサイドホテルの宿の人々が大勢道端まで出て手を振ってキャラバンを見送る。はセミの鳴き声と共に民家の数も減り始め、ひとつめの峠「四十八ヶ所越」への登り口に近づいてきたことを感じさせる箇所でパレードは終了。いよいよステージの火蓋が切って落とされた。
スタート直後から53名の集団が一気に伸び始めた。小嶋や鈴木(spacebikes.com)、山根(YOU CANスペシャライズドNISSYO)、田端(spacebikes.com)など昨日の上位陣がこぞってペースを上げて早くもトップグループを形成しようとしている。しかし白石や春原などシマノドリンキング勢や秋山(Teammasahikomifune.com)などがしっかり追い上げ大集団に戻る。ゆるやかに登りながらも30km/h近いスピードだ。エンジンがかかるのが早い。
道は狭くなり鬱蒼とした緑が両脇を覆う峠道に入った。標高差約370m程度の小さな峠とはいえ、今大会の勝利者をうらなう重要な登りである。ここで渡邊(ナカガワAS K’デザイン)がアタック。単独で5分以上逃げ続け、昨日の自己紹介で「(京大自転車競技部の)後輩たちに自分の走りを示したい」と言っていたコメントの通り光る走りを見せる。大集団は渡邊の逃げを若干そわそわしながらも様子をうかがっている。峠の手前で渡邊は集団に飲み込まれ、14名のトップが峠を目指しペースアップ。白石が先頭通過、田端、小嶋、山根と続く。
下り切った選手らは海岸線をしばらく北上。バラけた選手らは数名ずつのグループで海を右手に見ながら走行し始めたが徐々に15名の先頭集団が形成される。時に喋りながらのまったりした走行だが、再び渡邊が集団から抜け出そうとするなど動きも発生。しかし逃げが決まることはなく、しばらく淡々と次のドンデン山まで静かに進行する。
スタートから1時間20分が経過した。50km地点を過ぎて再び山手側に入りドンデン山への登りに差し掛かった。徐々にペースが上がるなか、田端がアタックの口火を切った。それに対しやはり自制できないかのように小嶋がアタックを仕掛け前に出る。そこへ昨年優勝争いを繰り広げたライバル、白石が反応。佐渡の山岳道路は傾斜の度合いにむらがあり、選手の脚にどんどんダメージを与えるようだ。傾斜が若干緩まると小嶋がペースを上げ、また厳しい勾配になると白石が巻き返す。イーブンペースの田端は2人の応酬に淡々とした様子でくっつき、場が落ち着くとトップにも出る光景が何度か続く。
そんな3人の後方では調子の良さそうな関根、疲労が顔ににじみ始めた昨日2位の山根、織田(Team-Comrade.com)、都築(Verdad)、伊藤(KUCC)、佐藤シゲヒコ(spacebikes.com)、山本、秋山らがバラけながら続いている。先ほど果敢な動きを見せた渡邊はかなり消耗した様子でどんどんペースを落としている。「ドンデン山荘まで4km」の看板が見えてきた。徐々に視界はひらけ、佐渡の市街や海をみおろす絶景が山の合間から見え始めている。残り2km、道はコンクリの「◎◎◎」模様になり簡易舗装の激坂となった。そんななか、小嶋と競り合っていた白石が失速!クロスカントリー世界選手権参戦を目前に準備が多忙な白石、「練習不足だとダメ!」と叫びながら小嶋、田端から一気に離れてしまった。
小嶋は白石の遅れを確認すると、さらにペースを上げて田端を引き離し、ドンデンの峠を田端との差、1分半でトップ通過。2位通過の田端の背後には30秒差で関根と稲増(KUCC)がせまってきた。気温はじりじり上がり、コーラを所望する者、水を体にかける者などサポートカーからは飲料や水がどんどん減っていく。
52km・ドンデン山
小嶋---田端(1m30s)--関根、稲増---織田--都築(4m+top)、佐藤シゲヒコ、秋山(6m+top)--伊藤?山本-----
ドンデン山からの下り、ひたすら慎重に下る小嶋の後方で、田端が落車してしまう。そこへ関根と稲増が追い付き、小嶋も吸収されひとまとまりで下っていく。
70km地点を過ぎ、今度は西側の海岸線に出た頃には、小嶋、田端、関根、織田、都築の5名が先頭グループを形成。ドンデンの登りで勢いのある走りで田端をとらえた稲増は下りでパンクを喫してしまった。海岸線に出る手前の長いトンネル内の待避所というおそろしい場所で修理を余儀なくされ、「せっかくトップに出られたのに!」痛恨の遅れとなってしまった。
尖閣湾を左手にのぞむ美しい海岸線、90km地点あたりで一面のひまわり畑を通過。トップ集団は、先ほどの5名に2名が追い付き7名となった。それより約5分遅れで白石、山根、木下、伊藤、山本、奈良(チバポンズかわぐち農園)が第2集団を形成。中盤まで「だめだ調子が出ない」とボヤきながら走っていた奈良だったが甲板に入り徐々に脚が回り始めたようだ。「前は何人?」とスタッフに問いかける。
大佐渡スカイラインへと向かい始めた選手たち。かつては金山として栄えた界隈、「史跡 佐渡金山」の看板が大きく掲げられたスカイラインの入り口に突入。後方からは高橋(spacebikes.com)が落車でリタイヤしたという情報が入る。クルマに乗せられた高橋の腕から流れる血が痛々しい。
第1ステージ最後の登りは山岳カテゴリー超級、標高差930mの難コースである。登り始めの序盤、やはり小嶋が前に仕掛け、田端と織田がそれに反応。しばらくは三つ巴での走りが続くが、小嶋の勢いを2人は止められない。残り10kmを切る頃には完全に小嶋が視界から消え、その後に田端、さらに織田も田端から引き離されてバラバラとなってしまう。トップの小嶋から3分差で4番手に都築が上がってきた「意外と走れる。どうしよう」。そして佐藤シゲヒコ、秋山、トップから5分のところに関根、さらに8番手に奈良、白石が上がってきた。
傾斜が徐々に緩やかになり、明るい尾根道に差し掛かった。厳しい勾配に顔をゆがめながらも小嶋はペースを衰えさせず、そのまま最高標高地点を通過し展望台のある駐車場のゴール地点に単独で飛びこんだ。タイム4時間5分55秒。遅れること4分43秒で田端がフィニッシュ。続いて織田が田端と1分26秒差で3位に入った。その後、終始マイペースに見えるもそつなくアタックに対応し続けた都築が4位、一時は気力が萎えかけ大幅に後退した白石が最後の激坂で威力を発揮し最後は5位に入る気合を見せた。そして6位にはショップ店長業をこなしながらもカッコいい走りを続ける佐藤シゲヒコが入り、7から9位は秋山、奈良、関根が揃ってフィニッシュ。また、トップに一時せまりながらもパンクに泣いた稲盛が壮絶な追い上げで15位に入った。
大会で初めて上陸した佐渡島の山のダイナミズムを体感した第1ステージ。土砂崩れによる通行止めで当初予定していた島内北部をめぐるコースは断念せざるをえなかったが、それでも「このコース、ひどいっす!」と走行中にオーガナイザーの近藤が選手から直訴されるほどインパクトの強いステージとなった。
夕刻5時のフェリーに乗り込み直江津から第2ステージの出発地である新井へと向かったキャラバン。明日は新井から県境を越え長野県に入り野沢温泉、奥志賀を経て渋峠、白根山を目指す。