3rd STAGE - 8/14 Tue.
8/14 Tue.
松本 - 武石峠 - 美ヶ原 - ビーナスライン - 女神湖 - 東御町 - 地蔵峠 128.5km
3rd STAGE 8/14 Tue. 松本 - 武石峠 - 美ヶ原 - ビーナスライン - 女神湖 - 東御町 - 地蔵峠 128.5km 田端(spacebikes.com)、序盤から疾走! まだまだ続くナカガワとCOMRADEの攻防に注目!
大会4日目、松本での朝を迎えたキャラバン。連日の酷暑と厳しい戦いで若干疲れた表情を見せた選手たちが、浅間温泉公民館のスタート地でゆっくりとウォーミングアップを始めている。
いよいよ恒例の松本・浅間温泉から武石峠、美ヶ原、ビーナスラインを抜けるツール・ド・信州の看板コースが始まった。これまでは序盤に位置する峠のカテゴリーが低かったが、今朝はいきなり浅間温泉の市街から一気にせまりくる激坂をかけ登り、武石峠を目指すカテゴリー超級からのスタート。コース全長は130km、中盤の美ヶ原、ビーナスライン、霧が峰のアップダウン、そして最後にそびえる地蔵峠まで気の抜けないコースだ。たまった疲労の度合いによって、走りに大きく差がつくことが容易に予想できる。
午前7時、スタート直後に渡邉(ナカガワAS K'デザイン)がアタックを開始。「小嶋を動かしていく」作戦にのっとったファーストアタックに集団はざわめいた。しかしオフィシャルカーがコースミスする不手際のために一旦振り出しに戻る状況となり、その混沌から田端(spacebikes.com)がアタック。一気に前に出る田端に一緒に付くものはおらず、そのまま田端が集団に差を付けて激坂をかけ登っていく。それを追い始めたのが渡邉、小原のナカガワコンビ、小嶋(TEAM COMRADE GIANT)、レイノルズ(ねこのじてんしゃ屋さん)、関根(spacebikes.com)。そこから渡邉が、最初のアタックを仕切り直すかのように単独で追走開始。田端、2分遅れて渡邉、その後に4人、集団が続く形となった。ナカガワとチーム総合で争うCOMRADEだが、小嶋の相棒である稲益は追走グループに含まれていない。
「序盤の峠が厳しく、皆の疲労がたまっている今日だからこそアタックしようと思った」という田端は、勢いをとどめることなく武石を登っていく。追走の渡邉は、後半から徐々にペースが衰え始めた。結果、田端が難なく武石をトップ通過し、渡邉は後方から追い上げた小嶋に背中をとらえられ、小島に2位を譲ってしまった。続いて「小原をマークしながらも自分のペースを守って力をセーブ」しながら淡々と走るレイノルズが4位通過、そして小原、関根、奈良(HOT STAFF)、稲益、川崎(ナカガワAS K'デザイン)と続いていく。
武石を下り、抜けるような青空と緑が視界に広がるアップダウンをひとり力強く疾走する田端。そのまま美ヶ原の山岳ポイントもトップ通過し、二連続山岳トップ通過の快挙。後方では、武石を下る小嶋と渡邉に小原やレイノルズ、関根が合流。「次の展開をどうするか、考えどころだった」という小嶋、本来ならこの集団に稲益がいればそのまま地蔵峠まで共に走り続けて、二人の総合タイムを稼ぐのが理想だが、頼みの稲益はもう追いつける状況ではない。「このままナカガワの二人を連れて行くのは得策じゃない」と判断し、美ヶ原の登りでひとり飛び出すことを決意。スパートをかける小嶋に「必死で付くこともできたが、ここは小原としばらく様子を見よう」と判断した渡邉。美ヶ原を通過時点では小嶋が田端に2分差にせまり、続いてレイノルズが単独、そして渡邉、小原、関根の3人がセットで通過した。
COMRADEとナカガワがそれぞれの思惑で攻防を繰り広げるのを尻目に淡々と前をゆく田端。「いつかは後方から追い付かれると思っていた」という予想通り、美ヶ原を下って突入したビーナスラインで遂に小嶋に背中をとらえられた。「(小嶋は)とにかく下りも踏みまくって速かった」という通り、ビーナスラインのアップダウンを得意とする小嶋が下りきった後の登り返しまで一気に踏み込むスピードで疾走。それに必死で付く田端。結局、小嶋は最後の地蔵峠に入ったところで「そろそろ田端を置いていこう」と判断し、おなじみのダンシング走行で田端を残して地蔵峠での独走を開始した。
前に出た小嶋の様子を見ながら、レイノルズ、関根とローテーションを繰り返していたナカガワ勢だが「今日は上り、下り共にうまくいかず」、苦しい追走となった。4人は小嶋との差を縮めることができず、そのまま地蔵峠に突入。その後方ではナカガワの3番手、川崎と稲益がバラけながら孤独な走りを強いられる一方、その後ろは梶木(ねこのじてんしゃ屋さん)、奈良、入江(シマノドリンキング)、横山(シマノドリンキング)、畑中(TEAM COMRADE GIANT)、一色(KUCC)、片倉(京都大学自転車競技部)、箕浦(ねこのじてんしゃ屋さん)らが集団で地蔵を目指していた。
地蔵峠で淡々と独走を続け、小嶋は遂に3ステージ連続で優勝に輝きリーダージャージを守り抜いた。一方、峠の後半でハンガーノックに見舞われた田端は、徐々に失速して後方の小原、渡邉との差が一時は1分差にまで縮まってしまった。「視界に田端が見えた」という小原だったが、皮肉なことに田端はその場で巡り合ったナカガワのサポートからコーラを受け取り、調子を取り戻してそのまま2位でゴールに飛び込んだ。田端とのタイム差1分20秒で小原が3位。そしてその1分31秒後に渡邉が入った。周到なチームプレイを狙ったはずのナカガワだったが、小嶋に付けなかった一瞬の戦略ミスでステージを逃してしまった。しかし、チーム総合1位を死守し、明日への希望を繋げた。
5位は最後までマイペースを貫いたレイノルズが、6位は関根、7位には稲益、8位には後方集団から抜け出し終盤で快進撃を遂げた梶木が入った。
酷暑とコースの厳しさ、重なる疲労との戦いで、真の実力が試された第3ステージ。序盤から果敢に挑んだ田端と、それぞれの思惑で挑んだCOMRADEとナカガワによるチームでの争いなど、様々な角度から見ごたえのある戦いが繰り広げられた。明日はいよいよ最終日。キャラバンは上田市を出て、一路、北アルプスの八方尾根を目指す。
田端(spacebikes.com)
今日は序盤から厳しい峠で、皆の疲労もたまっているだろうから、自分はすぐにアタックしようと思っていた。自分は下りも平地も遅いから、登りでしか勝てない。追われると逃げたくなるっていうのもある。ビーナスラインの小嶋はすごく速かった。最後の登りでナカガワが後ろにせまっていると聞いて、「また4位じゃしゃれにならないな!」と思って気合を入れた。ハンガーノックにもなったが、ナカガワのコーラのおかげで何とか元気になった。ナカガワのサポートもチーム用に渡そうと思っていたようだが、そのコーラを結局渡してくれて・・・助かりました。自分の走りが「バカ正直」ってよく言われるが、頭を使って駆け引きをやって最後だけドカンといって得するような走りは嫌い。信州みたいに全力でいける戦いがいい。全力で行って、ダメになればなったで、いい。明日はなんとか総合で3位に入りたい。3年連続3位が目標なんで。ダメだとしても、少なくとも4位に入りたいですね。
小嶋(TEAM COMRADE GIANT)
優勝はできたけど、今日は本気で最悪の展開!渡邉のスタート直後のアタックで、稲益がちぎれたのが惜しい。その後も田端が行って渡邉が行って、小原は僕にずっと付いてきて・・・できればこれに稲益を追いつかせて、地蔵までは一緒に行くのが理想的だ、と思ってたがうまくいかなかった。とりあえず武石で渡邉をとらえて、田端とのタイム差は2分ぐらいと聞いて作戦を考えた。このまま一緒にいる渡邉と小原を引いていったら損だし、彼らと稲増とのタイム差を広げるわけにはいかないから、仕方がなく美ヶ原で単独になった。ビーナスラインは得意だから小幡に追いついて、地蔵のふもとまで来て「ここまで来たら置いていけばいい」と思って田端を置いてひとりで登りきった。なんでビーナスラインで速いかというと、登り返しでビューンと行くと後ろと差が開くじゃないですか。効率重視ですよ。あそこは空気が薄いからスピードも出るし(笑)。今日は消耗して走ったけど、明日もチーム総合順位のために頑張ります。
レイノルズ(ねこのじてんしゃ屋さん)
田端、渡邉、小嶋のことはあまり気にせず、ナカガワの小原だけをマークしながら走った。彼を見ながらも、自分のペースで走って力をセーブしていた。小原はたぶん自分と同じぐらいの疲れようだったが、最後は彼の方が強かった。登りはひたすらインナーローで我慢し続けた。3日目はやっぱり辛いね。ステージレースは今年、熊野で完走したけど、この大会のほうがハード!次のレースまで3日しかないから回復できるか分からないけど、いい精神修行になってるよ(笑)。
渡邉(ナカガワAS K'デザイン)
今日は自分がガンガン行けるだけ行ってステージを取りに行き、小原は脚をためて、川崎は順位を何とかキープするようチームとして作戦を立てた。スタート直後、小嶋を動かそうとアタックをし、その後も田端が行ったから自分が出たが、武石の頂上で小嶋に抜かれて2位通過になってしまった。その後の小嶋のアタックに対して「どうしようか」と思ったが、田端に追いつくまでは様子を見ようと判断した。そういう作戦だったが、あの時、自分が小嶋に付いていけば展開は変わっていたかもしれない。あまりチームでの脚が揃わなくてローテーションがうまくいかず、いまいちの展開になってしまったのが悔しい。
小原(ナカガワAS K'デザイン)
小嶋が逃げた時点でナカガワも付いていけば良かったけど、そこが負けのポイントだったと思う。脚は徐々に疲れてきていますね。でもサポートでマッサージもしてもらって、かなり恵まれていると思う。最後の峠で田端が失速して、スペースのサポートに1分差と聞いて、自分自身も田端を目撃したけど、結局は届かなかった。うちのサポートがコーラをあげたんですよね。でも、僕もCOMRADEからもらったりしてるから、お互い様ですね(笑)