HISOTRY 1998

ファンライド誌掲記事

ツール・ド・信州 ファンライド誌掲載決定

ツール・ド・信州の記事がファンライド誌10月号(=9月20日発売)に掲載されました。
 

ツール・ド・信州 1998
 
日本のロードレースって同じところをぐるぐるまわるようなのがほとんど。信州にはヨーロッパに匹敵するくらいの峠があるのに、ヒルクライムレースしかやってないし・・・。ツールやジロのような、山岳コースでのステージレースがやってみたい。
ツール・ド・信州ができたのはそんな思いからでした。一日90~150kmの山岳コースを、7日間続けて走りきる。夜はキャンプ場で自炊。選手・スタッフ入り交じって食事をしながら、その日のステージの表彰式。ツール・ド・信州はそんなステージレース風のツーリングイベントです。
 
8/1 第1ステージ 西湖一周個人T.T.(10km)
 
今大会に出場した選手は16人。内訳は京都大学自転車競技部から7名、同サイクリング部から7名、東京農工大学から1名,摂南大学から1名というもの。当初は更に多くの他大学からの参加を願っていたが,1週間のサポート員の確保・キャンプ生活などがネックとなったのか、結局ほとんどが実行委員会のある京都大学からの参加となった。
 
この中から10kmT.T.を制したのは東後(京大自転車競技部)。2位に20秒の差を付け初めてリーダージャージに袖を通した。
 
8/2 第2ステージ 鳴沢-富士山スカイライン-山中湖-富士スバルライン-富士五合(119km)
 
この日は富士山を一周した後,今大会最大標高差の1400mを一気に上るコース。序盤,集団での走行が続くがスカイラインの登りに入るところから集団がばらける。東後が前に出て、初の山岳ポイント地点を首位で通過。この後、富士登山駅伝により一時中断するが,時間差を付けて再スタート。終盤はチェックポイントですぐさま走り出した近藤・中村が先行する。スバルラインに入り近藤が単独で逃げを決めて優勝。前日首位の東後に13分の差を付け,リーダージャージを獲得した。また、カテゴリー超級の富士五合により山岳ポイントでも近藤が首位に立った。最後のスバルラインではハンガーノックによる疲労者が続出。補給の重要性を再認識する。
 
8/3 第3ステージ 牧丘-クリスタルライン-信州峠-馬越峠-麦草峠(127km)
 
一日で4000m以上の標高差を上る大会屈指の難関コース。スタート直後から標高差1200mの乙女高原への登りが始まる。この登りで中村が序盤から逃げる。これを篠原(京大自転車競技部)らの集団が追った。ところが次の下りで落車、パンクなどのトラブルが相次ぎ,木賊峠の入口では再び上位選手が軒並み顔を揃えた。しかし再び集団がばらけると中村・斎藤(京大BOMB)らが先行し,信州峠では近藤に対して一時9分の差を付けた。そのまま逃げ切るかと思われたが、馬越峠の下りでまたもやパンクが起こり東後・近藤が逃げ集団を吸収。勝負は最後の麦草峠へと持ち越された。麦草峠では登り口から近藤がアタック。26kmの登りを逃げ切りステージ2勝目をあげると同時に総合1位を守り、2位東後との差を18分に広げた。またこの日、序盤の峠で山岳ポイントを荒稼ぎした中村が山岳賞のトップに立った。
 
8/4 第4ステージ 茅野-杖突峠-伊那-権兵衛峠-木祖-境峠-野麦峠-美女峠(156km)
 
厳しい峠は無いものの、156kmは大会最長のコースとなった。スタート直後の杖突峠で桜井・山本らが先行するが、伊那で再び大集団となる。権兵衛峠の登りが始まると篠塚(京大BOMB)が単独でアタック。これに桜井らが反応し、さらに中程で東後がペースを上げ先行の山本らに追いついた。この集団がその後も境峠・野麦峠で差を保つが野麦峠で斎藤にメカトラブルが起こる。ここから山本が単独で先行するが,トンネルで痛恨のパンク。最後は篠原が単独でゴールし優勝を飾った。またこの日、中村が膝の不調のため出走せず山岳賞の権利を失った。
 
8/5 第5ステージ 高山-平湯峠-安房峠-乗鞍岳(84km)
 
距離は短いものの,日本車道最高所の乗鞍岳畳平(標高2700m)へゴールする山岳コース。連日の疲れからか,リタイア者が3名に増加した。この日平湯峠へのアプローチで寺本(京大BOMB)がまず先行。これを後続集団が吸収し,更にここから桜井がアタック。東後・近藤の2人が追うが届かず。この後も桜井は差を広げ続ける。後続では近藤が安房峠で逃げ、桜井を追うが結局届かず。10回以上乗鞍を登った経験を持つ桜井が2位に13分もの大差を付けステージ初優勝。山岳ポイントも大きく伸ばした。
 
8/6 第6ステージ 松本-武石峠-美ヶ原-ビーナスライン-大河原峠(96km)
 
当初は車坂峠までの154kmのコースであったが、選手の疲労も激しくコース短縮が行われた。この日、澄み渡る青空の下でビーナスラインからは北アルプスが全て見渡せるなど、最高の景色の中のレースとなった。武石峠の登りで東後・桜井の2人が後ろを振り切る。これに反応できない近藤・庄司(東京農工大)が後を追う形となった。武石峠の下りで一人になった東後は更に次の美ヶ原の登りでもペースをゆるめずビーナスラインに入り,その後もそのまま逃げ切りステージ2勝目を飾った。2位には中盤から猛追を見せた小嶋が入った。また、序盤の峠で山岳ポイントを稼いだ桜井が,山岳賞首位を行く近藤まで4ポイントに迫った。
 
8/7 第7ステージ 嬬恋-地蔵峠-鳥居峠-草津-渋峠(95km)
 
最終ステージは国道最高所の渋峠をゴールとするコース。この日,総合2位につけていた東後がレースの調整のため出走せず。近藤の総合優勝はほぼ確定となった。初めの地蔵峠で逃げた西村(京大自転車競技部)が、その後も単独で逃げ続ける。これを桜井らの集団が追う。渋峠に入り,最後は桜井が西村に30秒差まで詰め寄るが届かず。西村が見事なステージ優勝を飾った。また最終日を終え、総合2位には終始堅実な走りを見せた庄司が入った。
 
大会を終えて
 
とにかくやってみようという形で始めたツール・ド・信州でしたが、参加した選手の方からは「来て良かった」「来年もやって欲しい」等という声を頂き,大成功だったと思います。来年の開催は未定ですが、もしやるとすればもっとたくさんの大学の方に参加して頂けたらと思っています。
 
総合成績
位 氏名   所属    総合タイム タイム差
1 近藤淳也 京大BOMB  30:58:21  -
2 庄司真陸 東京農工大 32:53:07  1:54:46
3 桜井悟朗 摂南大学  32:58:29  2:00:08
4 斎藤真規 京大BOMB  33:50:38  2:52:17
5 東後篤史 京都大学  34:38:08  3:39:47
 
山岳賞
位 氏名   ポイント
1 桜井悟朗 250
 
 
ツール・ド・信州実行委員会 連絡先
(実行委員会は京都大学サイクリング部・自転車競技部の有志により結成)
 
〒606-0827 京都市左京区下鴨西半木町27-1-108 近藤淳也方
E-mail:junya.kondo@nifty.ne.jp
ホームページ:http://www-geod.kugi.kyoto-u.ac.jp/~jkondo/tour/
 
 
今大会の主なルール
 
・公道を用いたサイクリングで,スタートからゴールまでの時間を計測する。積算タイムで総合順位をつけ,首位のものにリーダージャージを与える。
・峠に超級から4までのカテゴリーを設け,それに応じた山岳ポイントの合計によって山岳賞を設ける。
・リタイアした者は最終完走者の1割増のタイムとし、翌日の完走を認める。
・参加資格は大学生・大学院生とする。