HISOTRY 2005

選手レポート - 吉田啓生(東京大学自転車部)

競技班3年の啓生です。ツールド信州に参加してきたのでレポートします。今年度の登録選手でない自分はこの信州が今年一番の大会であったので、気合を入れてかなり長いレポートになってますが勘弁してやってください。ツールド信州は、サポートがいなければ出場できないということだったので、東大3人の他に、チームジロの下村さんにサポート・メカニックをしていただき、さらにナルシマの高梨さん、杉山さん、高橋さん達を加えた混成チームのような形で出場してきました。今年は選手が74人もいて例年になく盛り上がったようでした。

プロローグ

顔合わせ的な3.8キロの天竜川沿いのド平地TTだった。個抜きより少し短いが全区間向かい風だから、5分台では走りたいなぁと思っていたが、最後の方は風に負けまくりで35km/hくらいまで落ちて6分18秒だった。ゴールした後はやべえタイムだと思っていたが、上位の人たちでも5分後半だったのでまあこんなもんかなという感じ。42位でなぜか山崎、広樹より好タイム。1分差スタートでコンディションは同じだったから、ギャグのつもりで持ってきたワンピのおかげか。なお杉山さんにも勝っていたので6人の中での順位は実はこの日が一番良かった。高梨さんは4位。強い!

第一ステージ(磐田市-秋葉山-天竜スーパー林道-兵越峠-南信濃村-赤石峠 116.7km)

今日から本格的にスタート。総高低差2500もあるが、今日が一番ぬるいらしい。パレード終了後の秋葉山登り始めで、いきなりペースアップ。ついていこうとするが、インカレ元チャンプとか、その他いろいろ肩書きのある人たちについていけるわけもなく普通にちぎれる。ひーひー登ってるうちに秋葉山頂上付近で人が集まりだし、前から下がってきた広樹を含むけっこうな人数の集団が形成される。しかし、路面の荒い林道の下りで周りからどんどんパンクやら落車やらで人が消えていき、いつのまにか広樹とたった二人になっていた。どうなってんだ。そして、このころから一人でばっか練習していて、レースの強度に慣れていない自分は太股ぴくぴくと腰痛が始まり、兵越峠開始直後足がつり、あっという間に広樹からちぎれる。その後はほとんど地獄だった。峠登りではつりそうになるごとにギアを27全開にして変なかっこうで曲芸ダンシング。抜かれまくりつつ、腰の激痛に耐えつつ、痙攣におびえつつ、赤石峠を登りきってゴール。腰痛でゴール後もかなりの時間腰を曲げられないし、宿までくーるダウンなはずなのに内ももつるし、明日までに少しでも楽にならなきゃ経堂のアパート帰ろうかと思った。なるしまのみなさんは速い。すぐ泣き言を言うはずの山崎もこの日はそんな疲れていない様子。かなりの危機感… ちなみに27スプロケはこの日から四日間杉山さんからお借りしていたが27がなければ、初日でリタイアしてたでしょう。本当に感謝です。ステージ50位、総合50位。

第二ステージ(南信濃-下栗-しらびそ峠-大鹿-分杭峠-高遠-杖突峠-入笠山 123km)

朝起きてみると、前夜に湿布やらエアサロンパスやらアミノ酸やらビタミン剤やらを総動員したおかげか腰は若干楽になっていた。安堵。今日の総高低差は3400で富士山のてっぺんまで行けそうな標高差である。今日始めの峠であるしらびそ峠は、今大会初のカテゴリー超級とやらで、途中の下栗集落付近はもう壁に這いつくばって登ってく感じである。前日と同じようにひーこら一人ヒルクライムしていたが、しらびそ峠頂上付近で再び人が集結しだし、10人くらいの集団形成。今日は次の分杭峠までけっこう平坦があるので、集団で行ければかなり楽だ!と思っていたのに、下りつづら折りであっという間にちぎれた。またも広樹とともに。登りで一緒なのに下りでちぎれるってことは、東大生はかなり下りがヘタクソなのだ。しばらくして平坦区間で京大生2人とランデブー。東大2人京大2人の微妙な4人組形成。そのまま、ほどほどなペースで分杭峠を通過。京大1年生が下りでちぎれ、4年生の人がパンクしていなくなったと思ったら、今度は別の京大1年生がひょっこり現れ、平地で自分と広樹をガンガン引いてくれたあげく杖突峠で勝手にちぎれていった。彼らはなんだったんだ… その後、入笠山までの登りでちょこちょこ抜いたり抜かれたりでたらたら走ってゴール。入笠山は標高が2000m近くある牧場で空が青すぎる!ハイジとかでてきそう。この日は汗で失われていく体液のバランスを保つために補給は水ではなく、全てポカリ原液にしたためかツル気配もなく、腰痛も我慢できるものになってきていた。慣れてきたのかな。ステージ44位、総合46位。

第三ステージ(茅野-麦草峠-川上村-信州峠-クリスタルライン-みずがき山-木賊峠-乙女高原-大弛峠 123km)

総高低差は4900m。一日で富士山+1300って…なんだかもうわけわからない。CSC1周で高低差150くらいだから30周分くらい??はじめのカテゴリー1級の麦草峠は国道で2番目に高い峠らしい。しかし!疲れはたまってきているが、なんだか体調は良い気がするのだ。期待通り、それほどきつくもなく山崎のいる集団で麦草峠を通過!20位ちょいくらいの集団らしい。これだけ長い峠をちぎれず上りきるのは何だか久しぶりな気がする。集団の登りスピードも周りのメンツも別に遅くはないのに、どうしたことなんでしょう。こうなると下りでちぎれるわけにはいかないので、コーナーで遅れるのはもう仕方ないから直線で取り戻す作戦でもがきまくり。麦草下りで4日間の最高速80km/hをたたき出し長い下りを乗り切る。信州峠クリスタルラインも何とか集団で登り、今までスタート直後でしか見たことなかった杉山さん高橋さんを集団に吸収していった。が、、、やはりそんな短期間で強くなっているわけはなく、80kmくらいのみずがき山山頂手前でやっとちぎれる。山崎に置いてかれる。ちぎれたらもうだめだめ。そしてとんでもないことが起きた。次の木賊峠をたらたら登っていたら峠の少し手前でBlancheの人が自分を抜いていったのだが、その人が木賊峠の下り初め1kmくらいのコーナーで車とクラッシュしていた。フロントガラスは大破し、ボンネットには血が飛び散っていた。気の毒なことに、かなりひどい怪我で全身麻酔の手術をしたんだそう。もし峠手前でちぎれずついていってたら…  そんな光景を見たうえに、事故の影響でサポートカーは全然来なくなるわで、乙女高原登りはかなりグロッキーだったが、高橋さんや京大院生の人が追いついてきて少し元気づけられた。途中に凶悪な砂利道区間のある漢字変換できない大ダルミ峠を雨に降られつつ何とかやっつけてゴール。やっと明日で終わり… ステージ35位、総合42位。

第四ステージ(甲府-鳥坂峠-精進湖トンネル-富士山スカイライン-御殿場-富士あざみライン-富士山五合目 108km)

最終日は108kmとちょい短め。総高低差は3300で普通。なのか?感覚が狂ってきてる。富士山スカイライン富士山中腹まで登らせた後、下って東側からもう一回五合目まで登らせるという主催者はサゾかと疑いたくなるような変態コース。しかも最後のあざみラインは平均斜度10%超で20%のセクションがいくつかあり、悪名高い。でも、前半の鳥坂峠は逆側からだけど合宿で走ったことあるし、あざみラインは先週友達とドライブで遊びに行ったついでに試走したばっかりだし、ビビリは少ない。しかも毎日順位は上がってきているので、目標を大きくして総合順位を74人の上半分37位以内に入ることを目指した。具体的には、スカイライン手前までは平坦がかなりあるので、そこまで人数の多い集団についていければ、後は登って下って登るだけだからバラバラになっても良いという感じである。そんな稚拙な作戦をごにょごにょ考えつつスタート。初めの鳥坂峠では結構な急斜面なのに最終日でみんな気合が入ってるのか、速い。きついきついと思ってたら峠半ばでちぎれた。いきなり作戦失敗。仕方ないのでばらばらになった広樹を含む6人くらいで峠と精進湖トンネルを越え、スカイラインまで青木ヶ原樹海横の下り基調の平坦をローテーションしつつAv.50近くでガンガン飛ばす。30位ちょいくらいの集団っぽい。スカイラインに入ると予定通り集団は解散になり、ヒルクライム状態。後半なぜか広樹は後ろに下がっていく。スカイラインの下りで土砂降りの雨になり視界も最悪だったが、セレーノの人と二人で下界の御殿場へ。ついに最後のあざみライン!もう誰かといてもしょうがないので入り口の道路脇で立小便して軽量化してから落ち着いて登坂開始。この11.5キロの登りでこのイッちゃってる四日間が終わるのかと思うと感動して泣きそうになった。まだゴールしてないのに。そう、まだゴールしてないのに、気抜いて蛇行しまくってたもんだから(気抜かなくても蛇行はする)、最後の最後に5合目の手前1.5キロくらいで広樹に追いつかれた。インカレ出ない奴にプロローグも含めたら1勝4敗でたまるかという気合があったのかどうかは知らないが笑、もうついていけなかった。そのまま広樹の後にゴール。そして今日のステージにより、目標の総合上位半分をぎりぎりの37位で達成!落車やパンクがなかったという運もあるが、日々調子が良くなり、順位が上がっていくのが嬉しかった。ステージ39位、総合37位。

非常に長いレポートになってしまいすいません。ここまで読んでくれてる方はあんまりいないでしょう。昨夜帰宅したばっかりなのに、パソコンに向かってずっと座りっぱなしなもんで、気づいたら足がむくみ始めててぱんぱんになってひどいことになってます。動けません。合宿無理です。苦しんでる時に神様のようにサポート・補給してくれたジロの下村さんとナルシマの方々3人の計7人で過ごしたこの高密度な5日間、高密度なハイエースを僕は忘れないでしょう。高橋さんがちょっと心配ですが。完走できるくらいには練習していて良かったです。ちゃんと強度の高い練習をすればまだまだ強くなれる予感がしました。インカレに出るみなさんはがんばって。一年生は来年ツールド信州出てね。