3rd STAGE
最強、小嶋!ツール・ド・信州2連覇を飾る。総合2位は矢澤(京大BOMB)、3位は渡邉(京大競技部)、新人賞は栗岡(大工大)
大会4日目第3ステージ。いよいよ最終日である。コースは宿の大月館前がいきなりひとつめの峠・麦草への登りとあって、序盤からいきなりハードな走りが強いられる。麦草を越え、ツーリングロードのメッカであるビーナスラインへ入り、霧ケ峰、和田峠、扉峠を経て美ヶ原へ。そしてフィニッシュは武石峠から再び美ヶ原、王ヶ塔のふもとへと至る総計117.6km。
午前7時30分、定刻通り14名全員がスタート。目下総合14位の寺本(直・千葉工業大)が果敢に集団をリード。「一度は先頭を引きたかった」(寺本)。2kmを過ぎて、早くも集団がバラけ始める。松井(京大)が苦しそうだ。そして、意外なことに前日まで総合2位の寺本(道・ペアラレーシング)が遅れ始めた。しきりに膝を押さえている。結局、寺本(ペアラ)は麦草で無念のリタイヤとなった。
集団前方では早くも山岳ポイント争いがスタートし、小嶋(京大)と栗岡(大工大)がし烈な攻防を繰り広げている。栗岡(大工大)がかければ小嶋(京大)がねじふせる、互いの必死の形相はレース始まって間もないことを忘れさせる激しさだ。6km地点まで2人のトップ争いは続くが、そこへ渡邉(哲・京大)が追いついて3人のトップグループが形成された。後続は小山(筑波大)と渡辺(陽・大阪大)、山本(京大)、矢澤(京大BOMB)、水が開いて板東(筑波大)、松本(同志社大)、そして松井(京大)、寺本(千葉工大)、唐木(筑波大)、寺本(ペアラ)と続く。セカンドグループからまず山本(京大)、さらに矢澤(京大BOMB)が遅れ始める。
ひとつめの麦草峠への闘いは1km手前で小嶋(京大)がアタック。栗岡(大工大)が反応するも届かず、小嶋が貫禄の1位通過。4位はいったんセカンドグループから遅れたものの、小山(筑波大)、渡辺(大阪大)に追いつき抜き去った矢澤(京大BOMB)がゲット。山本(京大)は膝の痛みでどんどん遅れていく。
麦草峠・カテゴリー1・2127m
(上位順位のみ)小嶋(京大)―栗岡(大工大)―渡邉(京大)――(トップから2m30s)矢澤(京大)―渡辺(大阪大)、小山(筑波大)
小嶋(京大)、栗岡(大工大)、渡邉(京大)の3人は、攻防を繰り返しながら至近距離のまま大門峠(36.4km地点~)へ突入。後続では矢澤(京大)が再び小山(筑波大)、渡辺(大阪大)にかわされる。さらに後方もアップダウンの度に順位が入れ替わり、序盤かなり苦しそうだった松井(京大)が46km付近で7位に浮上。
ふたつめの山岳ポイント、ドライブイン・チャップリン前が近付いてきた。スタッフによる「もうすぐだぞ!」の声を皮切りに小嶋(京大)がスパート!追いすがる栗岡(大工大)、遅れを取る渡邉(京大)に一気に差を付けふたつめも1位通過。しかし下ってすぐのチェックポイント(56.2km地点)では再び3人が一緒になり、恒例のかりんジュースを飲み干し再度走り始める。
ドライブインチャップリン・カテゴリー2・1800m
(上位のみ)小嶋(京大)―(15s)栗岡(大工大)―(トップから1m)渡邉(京大)―(トップから5m20s)渡邉(大阪大)、小山(筑波大)―(トップから6m30s)矢澤(京大BOMB)
霧ケ峰の名の通り、コースは霧に包まれ気温も下がってきたが、美ヶ原の山岳ポイント(74.2km地点)へたどり着く頃には天空晴れ渡り最高の眺望となる。トップ3名は小嶋(京大)が攻めの一手で峠を一心不乱に登り詰める。渡邉(京大)は「ここで力を出せば最後の登りがキツい」と判断し、あえて遅れを取る作戦へ。一方、小嶋に必死に食らいつく栗岡(大工大)だったが、美ヶ原山岳ポイント手前の分岐路でよもやのコースミス!遂に小嶋(京大)は単独トップとなり、勝利へのラストランが始まった。コースアウトするも何とか復帰した栗岡(大工大)は、続いてやって来た渡邉(京大)と合流。共に美ヶ原を下り始めた。
美ヶ原・カテゴリー3・1950m
(上位のみ)小嶋(京大)―(1m20s)栗岡(大工大)―(トップから1m40s)渡邉(京大)―(トップから10m)矢澤(京大BOMB)―(トップから11m30s)――板東(筑波大)―渡邉(大阪大)
一方、4位争いは矢澤(京大BOMB)が復調してゲット。「攻めるところは攻め、抑えるところは我慢して抑えたおかげ」(矢澤)。小山(筑波大)と健闘していた渡辺(大阪大)だったが遅れ始め、板東(筑波大)に抜かれてしまった。
ツール・ド・信州2000最後の山場、武石峠を真っ白のリーダージャージをまとった小嶋(京大)が疾走する。とはいえ最後まで気は抜けない。武石峠の登り口で栗岡(大工大)をかわした渡邉(京大)がパワー蓄積の効を奏し、猛追を繰り広げている。渡邉に置いて行かれた栗岡は、最後の分岐でまたまた迷子になってしまい、後方から来た矢澤(京大BOMB)にも追いつかれてしまう。
そしてトップ。渡邉(京大)が小嶋(京大)に迫るも何とか逃げ切り、1分13秒差で小嶋が今大会のプロローグをのぞく全ステージを優勝で飾った。3位は矢澤(京大BOMB)、栗岡(大工大)4位。健闘の小山(筑波大)が5位となった。松本(同志社)はコースアウトの後、復帰できず着外。
ツール・ド・信州2000は、小嶋(京大)の3ステージ制覇による総合優勝で幕を閉じた。総合2位は矢澤(京大BOMB)、3位は2回生ながら大器の片鱗を見せた渡邉(京大)、なお、新人賞は随所で果敢な走りを見せた栗岡(大工大)に贈られた。