HISOTRY 2000

3rd STAGE

最強、小嶋!ツール・ド・信州2連覇を飾る。総合2位は矢澤(京大BOMB)、3位は渡邉(京大競技部)、新人賞は栗岡(大工大)

 大会4日目第3ステージ。いよいよ最終日である。コースは宿の大月館前がいきなりひとつめの峠・麦草への登りとあって、序盤からいきなりハードな走りが強いられる。麦草を越え、ツーリングロードのメッカであるビーナスラインへ入り、霧ケ峰、和田峠、扉峠を経て美ヶ原へ。そしてフィニッシュは武石峠から再び美ヶ原、王ヶ塔のふもとへと至る総計117.6km。

 午前7時30分、定刻通り14名全員がスタート。目下総合14位の寺本(直・千葉工業大)が果敢に集団をリード。「一度は先頭を引きたかった」(寺本)。2kmを過ぎて、早くも集団がバラけ始める。松井(京大)が苦しそうだ。そして、意外なことに前日まで総合2位の寺本(道・ペアラレーシング)が遅れ始めた。しきりに膝を押さえている。結局、寺本(ペアラ)は麦草で無念のリタイヤとなった。

 集団前方では早くも山岳ポイント争いがスタートし、小嶋(京大)と栗岡(大工大)がし烈な攻防を繰り広げている。栗岡(大工大)がかければ小嶋(京大)がねじふせる、互いの必死の形相はレース始まって間もないことを忘れさせる激しさだ。6km地点まで2人のトップ争いは続くが、そこへ渡邉(哲・京大)が追いついて3人のトップグループが形成された。後続は小山(筑波大)と渡辺(陽・大阪大)、山本(京大)、矢澤(京大BOMB)、水が開いて板東(筑波大)、松本(同志社大)、そして松井(京大)、寺本(千葉工大)、唐木(筑波大)、寺本(ペアラ)と続く。セカンドグループからまず山本(京大)、さらに矢澤(京大BOMB)が遅れ始める。

 ひとつめの麦草峠への闘いは1km手前で小嶋(京大)がアタック。栗岡(大工大)が反応するも届かず、小嶋が貫禄の1位通過。4位はいったんセカンドグループから遅れたものの、小山(筑波大)、渡辺(大阪大)に追いつき抜き去った矢澤(京大BOMB)がゲット。山本(京大)は膝の痛みでどんどん遅れていく。

麦草峠・カテゴリー1・2127m

(上位順位のみ)小嶋(京大)―栗岡(大工大)―渡邉(京大)――(トップから2m30s)矢澤(京大)―渡辺(大阪大)、小山(筑波大)

小嶋(京大)、栗岡(大工大)、渡邉(京大)の3人は、攻防を繰り返しながら至近距離のまま大門峠(36.4km地点~)へ突入。後続では矢澤(京大)が再び小山(筑波大)、渡辺(大阪大)にかわされる。さらに後方もアップダウンの度に順位が入れ替わり、序盤かなり苦しそうだった松井(京大)が46km付近で7位に浮上。

 ふたつめの山岳ポイント、ドライブイン・チャップリン前が近付いてきた。スタッフによる「もうすぐだぞ!」の声を皮切りに小嶋(京大)がスパート!追いすがる栗岡(大工大)、遅れを取る渡邉(京大)に一気に差を付けふたつめも1位通過。しかし下ってすぐのチェックポイント(56.2km地点)では再び3人が一緒になり、恒例のかりんジュースを飲み干し再度走り始める。

ドライブインチャップリン・カテゴリー2・1800m

(上位のみ)小嶋(京大)―(15s)栗岡(大工大)―(トップから1m)渡邉(京大)―(トップから5m20s)渡邉(大阪大)、小山(筑波大)―(トップから6m30s)矢澤(京大BOMB)

霧ケ峰の名の通り、コースは霧に包まれ気温も下がってきたが、美ヶ原の山岳ポイント(74.2km地点)へたどり着く頃には天空晴れ渡り最高の眺望となる。トップ3名は小嶋(京大)が攻めの一手で峠を一心不乱に登り詰める。渡邉(京大)は「ここで力を出せば最後の登りがキツい」と判断し、あえて遅れを取る作戦へ。一方、小嶋に必死に食らいつく栗岡(大工大)だったが、美ヶ原山岳ポイント手前の分岐路でよもやのコースミス!遂に小嶋(京大)は単独トップとなり、勝利へのラストランが始まった。コースアウトするも何とか復帰した栗岡(大工大)は、続いてやって来た渡邉(京大)と合流。共に美ヶ原を下り始めた。

美ヶ原・カテゴリー3・1950m

(上位のみ)小嶋(京大)―(1m20s)栗岡(大工大)―(トップから1m40s)渡邉(京大)―(トップから10m)矢澤(京大BOMB)―(トップから11m30s)――板東(筑波大)―渡邉(大阪大)

一方、4位争いは矢澤(京大BOMB)が復調してゲット。「攻めるところは攻め、抑えるところは我慢して抑えたおかげ」(矢澤)。小山(筑波大)と健闘していた渡辺(大阪大)だったが遅れ始め、板東(筑波大)に抜かれてしまった。

 ツール・ド・信州2000最後の山場、武石峠を真っ白のリーダージャージをまとった小嶋(京大)が疾走する。とはいえ最後まで気は抜けない。武石峠の登り口で栗岡(大工大)をかわした渡邉(京大)がパワー蓄積の効を奏し、猛追を繰り広げている。渡邉に置いて行かれた栗岡は、最後の分岐でまたまた迷子になってしまい、後方から来た矢澤(京大BOMB)にも追いつかれてしまう。

 そしてトップ。渡邉(京大)が小嶋(京大)に迫るも何とか逃げ切り、1分13秒差で小嶋が今大会のプロローグをのぞく全ステージを優勝で飾った。3位は矢澤(京大BOMB)、栗岡(大工大)4位。健闘の小山(筑波大)が5位となった。松本(同志社)はコースアウトの後、復帰できず着外。

 ツール・ド・信州2000は、小嶋(京大)の3ステージ制覇による総合優勝で幕を閉じた。総合2位は矢澤(京大BOMB)、3位は2回生ながら大器の片鱗を見せた渡邉(京大)、なお、新人賞は随所で果敢な走りを見せた栗岡(大工大)に贈られた。

RANKING

個人ステージ

順位ゼッケン選手名チームTIME+TOP備考
1 1 小嶋洋介 京都大学自転車競技部 4:37:28
2 4 渡邉哲平 京都大学自転車競技部 4:38:41 00:01:13
3 31 矢澤真幸 京大BOMB 4:47:40 00:10:12
4 32 栗岡紀之 大阪工業大学 4:47:48 00:10:20
5 12 小山正高 筑波大学 4:53:40 00:16:12
6 13 板東陽平 筑波大学 5:06:10 00:28:42
7 34 渡辺陽平 大阪大学 5:12:28 00:35:00
8 3 西村拓朗 京都大学自転車競技部 5:28:08 00:50:40
9 2 山本耕平 京都大学自転車競技部 5:55:24 01:17:56
10 33 寺本直純 千葉工業大学 5:59:10 01:21:42
11 5 松井健 京都大学自転車競技部 6:04:44 01:27:16
12 11 唐木拓 筑波大学 6:07:55 01:30:27
13 35 松本壮陽 同志社大学自転車部 6:44:43 02:07:15 Retired
13 22 寺本道彦 ペアラレーシング 6:44:43 02:07:15 Retired

個人総合

順位ゼッケン選手名チームTIME+TOP備考
1 1 小嶋洋介 京都大学自転車競技部 14:54:01
2 31 矢澤真幸 京大BOMB 15:16:32 00:22:31
3 4 渡邉哲平 京都大学自転車競技部 15:21:41 00:27:40
4 13 板東陽平 筑波大学 15:49:44 00:55:43
5 32 栗岡紀之 大阪工業大学 16:06:54 01:12:53
6 12 小山正高 筑波大学 16:13:24 01:19:23
7 34 渡辺陽平 大阪大学 16:39:57 01:45:56
8 2 山本耕平 京都大学自転車競技部 16:43:31 01:49:30
9 3 西村拓朗 京都大学自転車競技部 16:45:29 01:51:28
10 22 寺本道彦 ペアラレーシング 17:11:06 02:17:05 Retired
11 11 唐木拓 筑波大学 17:38:54 02:44:53
12 35 松本壮陽 同志社大学自転車部 17:39:20 02:45:19 Retired
13 33 寺本直純 千葉工業大学 19:03:20 04:09:19 Retired
14 5 松井健 京都大学自転車競技部 19:10:19 04:16:18 Retired