3rd STAGE - 8/17 Sat.
阿部、風格と貫禄の走り。くらいつく白石、追う矢澤。 ステージ3日目は苛酷な我慢大会に！
一泊1150円の松本青年の家で一夜を過ごし、早朝に全員で集団清掃（おそうじ）をしたのち、午前７時30分に松本市浅間温泉をスタートした選手達。昨日の落車により牛田（信州大）、山形（東大）、嶋田（あづみの）がDNS、さらに膝の痛みを訴えた藤田（京大）も今日はサポートカーからの観戦となった。
大会４日目第3ステージ、今日は松本市から美鈴湖を目指し美ヶ原林道で武石峠に向かい、美ケ原、ビーナスラインをぬけ車山から芹ケ沢へ一気に下り、麦草峠をフィニッシュとする109km。序盤からいきなり18kmに及ぶ登坂が選手に襲い掛かる苛酷な道のりだ。
浅間温泉会館から美鈴湖への分岐まではパレード走行。OBの岡本を含む大阪大学やセレーノらはおそろいのジャージでハイポーズ。そのまま柳井がカメラアタック、続いて山本（セレーノ）も集団から飛び出しをかけるがほどなく戻る。第1ステージの落車でひどい擦過傷に苦しみ包帯を巻いた高月（東大）も元気に集団に含まれている。また、昨日からオープン参加の女子選手、小池（TBC）も疲れ気味ながらペダルを踏む。
集団から今度は西村（京大）がアタック。西村は一気に差を広げて単独走行を繰り広げる。西村のアタックを起爆剤にして後方は一気にばらけ、徐々に追走集団が形成される。阿部（シマノ）が喝を入れるかのように果敢にスピードを上げ、白石（阪大）、平井（C.A.グッドウィル）、町田（セレーノ）、斉藤（foobar network）がそれに続く。さらに後方からは山本（セレーノ）、矢澤（京大）、高橋（京大）、春原（京大サイクリング部）ら7名が後を追う。前方の追い集団から1分近く遅れを取る矢澤。今日は調子が悪いのか？と思いきや「どうせアップには2時間かかるのだから」イーブンペースを保つ戦略ということだった。
後方を気にしつつ必死で逃げる西村。しかし山岸賞ゲットはかなわず登りの中盤に差し掛かるまでに追走集団が吸収。西村を吸収した集団からは、遂に阿部が一気にペースアップ。唯一反応できたのは白石、その後方もバラバラと差が開き、12km地点では阿部と白石、20秒開いて斉藤と春原、さらに40秒開けて矢澤と高橋、続いて町田、平井が後を追うというペア走行が始まった。持てる力を振り絞ったかのような西村はひらひらと後退し始めてしまった。その頃から大粒の雨が降り始め、悪コンディションとなった。また、女子初参加の関家は第一ステージの落車による脚の痛みのため無念のリタイヤとなった。
阿部、白石の後方に続くのは斉藤、春原。やや距離を置いて矢澤、町田、平井、高橋が続く。19kmにおよぶ登坂合戦は阿部、白石のスプリント勝負で白石が獲得。
武石峠 - 白石、阿部、斉藤、春原、矢澤、高橋、山本（セレーノ）、町田
武石峠からの下りでは、後方だった矢澤が猛スピードで下り、一気にトップに躍り上がった。美ヶ原への登りに差し掛かったところで再び阿部がかけて阿部、白石、矢澤と微妙な距離を開けつつ登り続ける。後方では、阿部から5分の差で斉藤、春原、高橋が懸命に追う。さらに町田が単独で走行。
美ヶ原への登りに入ったところで、遂に阿部が牙をむいた。必死にくらいつく白石、矢澤を置き去りにし、瞬く間に独走となった阿部は、ガスでけむる林道を力強く突き進んでいる。「20秒差と聞いたそのすぐ後にはもう見えなくなった」（白石）。
美ヶ原 - 阿部、白石、矢澤、斉藤、高橋、春原、山本（セ）
チェックポイントを通過。トップの阿部、追う白石、続く矢澤はバラバラ状態で霧ヶ峰の駐車場をあとにした。ここで阿部、白石の差は約5分、矢澤はその2分遅れ。それぞれに孤独な闘いだ。
チェックポイントの後、ドライブイン・チャップリンを頂上にひとつそびえる丘でも阿部の独走は変わらない。しかし後方の白石も阿部にひけを取らぬ力強いペダリングで必死に前進。ほんの少し、ほんの少しずつ阿部との距離を縮めているようだ。
雨が上がり、蒸し暑い下界におり、芹ケ沢の市街をぬけていよいよ麦草に突入した。麦草の序盤、白石と阿部のタイム差は3分20秒まで縮まった！タイム差を聞いた阿部の表情も険しくなり、スピードがにわかに上がり始めた。しかし後方、白石の渾身の走りはさらなるタイム短縮を招き、ラスト3kmで2分40秒にまで縮む！阿部、激しいスパートをかける。傾斜がゆるみ、平坦路になりゆるいコーナーを曲がった。麦草峠の標識の下、フィニッシュポイントに阿部が飛び込んでくる。白石、及ばず。ラストは3分11秒の差となり、阿部がトッププロの貫禄をまざまざと見せつけ、第3ステージに幕をひいた。
3位は同じく孤独な闘いを強いられた矢澤がトップと12分差で3位、続いて高橋、春原、紫芝、斉藤、都築のフィニッシュとなった。
今日のひとこと＝誰と誰がどうだったコメント
阿部（シマノレーシング）：朝のそうじはいいウォーミングアップになりました。
山本（京大）：チェックポイント後は麦草の途中まで、渋谷さんとラブラブで走っていました～！
古賀（京大）：ビーナスラインからチェックポイント周辺は西村先輩に引かれていました。
高月（東大）：序盤にもう集団から切れちゃいました。その後は濱田くんと、ラストは独りでした。
春原（京大サイクリング部）：斉藤さんと高橋くんに連れてきてもらいました。お二人ありがとう。
一色（京大サイクリング部）：ヴィーナスラインを森島さん、谷くんにひっぱられて走りました。
渋谷（Vitesse）：昨日は30回くらい休んだけど（腰痛のせいで）今日は10回くらいですんだ。
斉藤（foobar network）：後ろから竹村さん（先輩）が来て追いつかれないよう必死で逃げた。
川嵜（Giro）：岡本くんといーっぱいバトルしました。
岡本（シマノドリンキング）：川嵜さんとバトルしました。負けた。
小関（ALPINE）：麦草峠が厳しかった。麦草までは平井くんのいる集団だったけど後は独りだった。
