OTHER RACES 1999

第9戦 5月5日

田村さん出場の夢絶たれる

(岡崎さんは原稿書きでお忙しいので、近藤が代役で書かせていただきます)

 数日前から参加を表明していたプロトライアスリートの田村選手。「美山のコースを1周15分以内で回れたら出場を認めます」と近藤が課した条件に惜しくも届かず涙の出場断念。これも勝負の厳しさ、次回は頑張って欲しい。というのは嘘で(田村さんごめんなさい)田村選手、ニュージーランド人の仲間と共に会場に現れるも絶不調のため出場せず。「ごめん、今日は帰るわ」と言って帰っていった。ああ残念。しかし絶不調だと言いながら美山まで来て50kmの道のりを帰っていく田村さんって一体・・・。

 プロトライアスリートが帰ってもまだプロ競輪選手(の卵)とプロアナウンサー・ライターとプロカメラマン(の卵?)が居るのです。その他にこの日集まったのは京大サイクリング部を中心とした選手8人。美山に向けてもうちょっと集まるかな?と思っていた主催側はちょっと残念でした。西日本学生選手権で落車して怪我を負った西村はスタッフとして参加。ドライバー不足を解消してくれました。

やっと実現・美山で集団走行

 前回、1周目の平坦路から飛び出し独走で優勝した松井選手。スタート前の「今日もいきなり飛び出すの?」という質問に、「今日は行かへん。7周もあるからな」と回答。その言葉通り平地では集団に留まる。前回ほとんど個人T.T.状態だった選手にとっては、やっと美山ロードの予行ができた。その集団から矢澤・寺本が抜け出し一時100mほど差を開けるが7km地点で吸収された。九鬼ヶ坂に入ると松井が平地のスピードそのままにほとんどペースを緩めず登りはじめた。30km/hは出ていようかというその速さに後続がばらける。さすがに峠を登るに従ってスピードは落ちたものの、おそらく本番の美山ロードでも十分に通用する速さで峠を先頭通過。一回目の山岳ポイントをゲットした。

 この初回の山岳賞にはビリ賞が設けられていた。岡崎さんが岩岳のフリーマーケットで買ってきたというへんてこなビニールの人形である。「これ今日の賞品でーす」とにこやかに話す岡崎れい子だが、「誰があんなの欲しいんやろ」とどきまぎする周囲。結局「初めの九鬼ヶ坂をドベで通過した人が貰わなければならない」というドベ賞に成り下がった。この賞を見事ゲットした栄誉ある選手は、スタート前に人形を最も「いらねえ」と言っていた篠塚。授与式の時にどういう反応を示すか楽しみだ。

 九鬼ヶ坂でばらけた集団だったが、平地に戻り松井、松村、高橋、福島、東後、矢澤の6人が再び集団となった。この集団に戻れなかった寺本、篠塚は後方で単独走行を強いられ勝負は山で6人に絞られた。

戦いは九鬼ヶ坂で

2周目。山岳ポイントの設けられていない九鬼ヶ坂の上りで高橋が飛び出した。5秒の差を付け峠を通過する。その後高橋は大きな動きを見せられず4位に終わる。レース後「今日はあの登りが全てでしたよ」と言う高橋にとって、山岳ポイントがあるがどうか、というのはどうでも良いことらしい。しかしその登りでは確かに見せてくれた。この2周目の登りで福島が集団から10秒ほど遅れをとる。下りで追い付くかと思ったが結局追いつけず戦線離脱。1周目は東後・矢澤よりも前で峠を通過していただけに惜しかった。

 続いて3周目の九鬼ヶ坂。2回目の山岳賞のかかった峠で松村が初のポイント獲得を目指して飛び出す。一時は後続と差が開いたと言うが、峠を前に松井に「サクッと」抜かれてポイント獲得できず。勝負は厳しい。

 大きな動きがあったのは4周目。やはり九鬼ヶ坂で東後がダンシングを始め少しペースを上げると松井と二人になる。松村・矢澤・高橋の3人はそろそろ足にきているのか、付いていけない。徐々に2人との差が開いてゆくがこの差が決定的になる。東後・松井は頂上までペースを緩めず、結局ここで2人になる。「死ぬ気で行けば付いていけたかも知れないけど、面子的に僕はここかなと思った」という松村。殻を破るべく果敢に挑戦して欲しい。

勝負は最後の九鬼ヶ坂へ

 その後大きな動きはなく勝負は最後の九鬼ヶ坂へ。注目された優勝争いは、峠入口から攻めた松井に東後が付いていけず30秒差を付けて松井が優勝。見事2連覇を果たした。今月末から修善寺に行く松井にとって、これが最後のロードレースになるかも知れないが、その試合を素晴らしい走りで飾ることができた。ゴール後、「引いてくれてありがとう」と東後に声をかける松井だったが、東後も「松井に引きは凄かった」と返す。恐らく最後の戦いであっただろう二人の間の静かな友情が感じられた。二人は十分フェアーに戦っていた。

 後続では集団から遅れて単独走行していた福島がラスト1周を残してリタイア。オフィシャルカーが着くと峠で寝転んでいた。篠塚・寺本の2名は1分前に通過したばかりということで、あと1周あれば周回遅れが出るところだった。

 熾烈な3位争いは矢澤。リヤディレーラーの調子が悪く思うように踏めなかったと言うが、だんだんスタミナがついてきたようだ。2秒差で高橋。松村は最後は離され5位。ラスト2周で一旦一緒になった篠塚・寺本の争いは篠塚が制し、20秒差で寺本がゴールした。

お次はいよいよ・・・

 2時間を超える長丁場お疲れさまでした。お次はいよいよ220kmです。運営側も総力を挙げてサポートしますので皆さんがんばって下さい。(近藤淳也)