第6戦 3月14日
史上最多!14名がエントリー
いよいよ春季戦の幕が開けた。第6戦のメイン会場はやっぱりサンダイコー。しかしこの日は勝手がちがう。周囲が妙に賑わっている。競技部バン(注:京大サポートカー)の正面にはパトカーまで配備。しかも公民館前には「START/GOAL」の横断幕が!「おおっ、周山ロード、はやくもメジャー大会に変貌か!?」いやいやちょっとおかしい。アップしてるのはランニング姿のおいちゃん達。なな、なんとこちらと全く同じ午後2時に全く同じサンダイコー前から地元の町おこしハーフマラソンがスタートすることが判明!「僕たち一体どーなるの」状態のしゅうざん組。しかしそこはオーガナイザーの判断によりスタート直後はパレード走行、その後マラソン軍団と別れた後に正式スタートを取るという、公道レースを地でゆくパターンとなった。
今大会は京大競技部から東後、西村、主将の井上、主務の青石(初参加)の4名、京大サイクリング部BOMBから寺本、篠塚、松村、「行きしな競技部バンで車に酔ってヤバイっすよ」と顔面蒼白の高橋、斎藤、矢澤、福島(初参加)の7名、そしてエキップあづみのから中西、中島、榊間の3名=史上最多の14名がエントリーとなった。競技部は前の週に白浜での合宿を終わらせたばかり。シーズンインへ向けての仕上がり具合が楽しみだ。リーダージャージを身にまとう東後の闘いぶりはいかに、あるいは7名という大所帯参加のBOMB軍団の走りは、そしてチームワークは随一のあづみの仲良し3人組がいかなる協力態勢を見せるかが見どころだ。ちなみにスタッフはオフィシャルカードライバー・森下が旅行de欠場(おおっ、ホワイトデー旅行か?)、ちばあつこもホワイトデーde欠場、壇上は...研修de欠場と、すっからかん状態(みんな次回はヨロシクね)。それにしても14名という、まとまった数のロードマンがスタートする風景は壮観だ。午後2時10分、カチッカチッとクリート音を響かせ若葉の匂いまじる(北山杉花粉もたっぷりの)春風を受けながら、選手団はゆっくりとパレード走行に突入した。
【1周目】中西(あづみの)井戸峠ではやくもスパート!
井戸峠手前でようやくマラソン集団から解放され、正式スタートを切った選手達。直後、矢澤が一瞬先行するも、すぐに戻る。常照皇寺の桜並木を抜けるまではスローペースだった集団だが、登りに入って中西がペースを上げ始めた。力強いペダリングである。意志を感じる登りである。遂に中腹でスパートをかけた。後ろを振り返りながらのスパートは、チームメイト・中島を連れていくためだったようだ。中西のアタックに中島が追随、さらに京大サイクリング部4回で卒業間近(就職先は、かの日本鋪道)の篠塚が反応!はやくも3名の逃げ集団が形成された。レースリーダー東後はクールである。どうやらしばらくは様子を見るつもりらしい。初参加の福島、青石は序盤から苦しい走りを強いられる。井戸峠の勾配、かき乱されるペース...初陣組にとって「周山の洗礼」が容赦なくふりかかる。
最初の井戸峠での1位通過選手には、寺本持参の「美山しぐれ」がてらりん賞として贈られる。期限切れの恐れアリとはいえ高価な美山しぐれ。それをゲットしたのは先ほど逃げた3名の中で先行した中島だ。先週の競技部白浜合宿に参加した中島は急激に調子をあげているらしい。走りにキレがある。一方、篠塚は「なぁなぁコンビ」のペースから遅れてしまう。井戸峠を越えた時点でトップグループは中島、中西の2名、セカンドグループは30秒遅れて東後、西村、矢澤、寺本、篠塚、斎藤、彼らからやや遅れて松村、井上、高橋、榊間、そしてラストは福島、青石の初参加コンビだ。狭間峠にさしかかり、セカンドグループから矢澤が脱落!合宿ではかなり力をつけたという矢澤だが、疲れがたまっているのか「膝がまわらない」と訴える。遅れた矢澤はしばらく独走を強いられる。
【2周目】斎藤パンク!あづみの「なぁなぁコンビ」快調に逃げ続ける
2周目の平坦路になっても中西、中島の走りに衰えはない。どちらかというと中西がペースメーカーだが中島の走りも鋭い。一方、セカンドグループは東後、西村が集団をリードするもなかなか先行の2名との差を縮めることはできない。レース後「いつか追い付くともくろんでいたのだが...」と東後がコメントしていたように、セカンドグループ、この差が致命的とは思っていなかったらしい。2度目の山岳ポイント、井戸峠では中西、中島、30秒差で東後、斎藤、寺本、西村、篠塚の5名、そして後続集団は独走だった矢澤が後ろの高橋、榊間と合流し、さらに井戸峠の登りで榊間がひとり先行、続いて高橋、矢澤、やや差が開いて松村、青石、福島、井上。後続組はひとつになったようだ。レースは順調に続くかとおもあこの井戸峠で戦線離脱者がひとり。登りの途中で「おかしいな」と感づいた時には斎藤、時すでに遅し、辛くもパンク、リタイヤを喫する。「ツアーでレーサーを放ったらかしにしてたから...だだこねたんかなあ」そやそや!もっと面倒みなあかん。
狭間峠へ向かう平坦路、セカンドグループに異変が。これまで必死で東後らの背中にくらいついていた寺本が遅れを見せ始めた。しかしドクターコースで研究職に献身しながらレース活動にも熱心なてらりん、今回の走りはあっぱれだった。中西、中島を追う集団は東後が先頭位置でペースをあげようとするが、やはりなかなか差はせばめられない。レースリーダー東後はもどかしい面持ちでペダルを踏むのか、いや「勝負はこれから」とほくそえんでいるのか、うかがい知ることはできない。
【最終周回】「オレがちぎれたらかまわず行け(中島)」中西、初勝利への独走
遂に中西、中島は1周目から逃げを打ったまま捕まることなく最終周回に突入。依然として後続との差は30秒。束の間、セカンドグループの視界に入るか否かにまで距離が縮まったが、長くは続かない。チームメイトのなぁなぁコンビは先頭交代の息もピッタリだ。いよいよ2人は最後の井戸峠へ!ここがエキップあづみの初勝利への最大の山場となる。勾配を序盤と変わらぬパワフルさで登る中西。マシンも体もぶれがない。対して、消耗度ピークに差し掛かりつつある中島。しかし極限まで追い込みながらも「オレがちぎれたら、かまわず行っていいから」と中西に声をかける配慮を忘れない。中腹でとうとう力尽きた中島。ここから中西はチームメイトに送り出されウィニングランへ猛進。井戸峠ピーク、中西、遅れた中島、そしてせまりくるは東後そして篠塚。レースは国道へ下り最後の登り狭間峠までの区間で東後が中西をとらえるのかに焦点が絞られてきた。「それではゴールで!」そんな余裕のコメントをオフィシャルカーに残しラストランに向かった中西は、その言葉通り30秒差の間隔を見事にキープしたまま周山ロード初勝利をものにしたのだった。中島はフィニッシュ直前に東後に追い付かれ3位。彼を迎えた中西と2人、笑顔で互いの健闘を讃えあい、「本当は僕らが逃げてつかまった後、榊間さんがさらに逃げて勝つという戦法だったんですけどね!」(中西)「チームワークですよ、チームワーク!」(中島)と爽快なコメントを残した。2位に甘んじた東後は「中西さんの強さは分かっていたけど、一緒に逃げた中島さんがあんなに強いとは」とフィニッシュ後に語った。やはりセカンドグループが数人いるにも関わらず、コンスタントに先頭交代してペースアップできなかったことが敗因のひとつだったのではないだろうか。
一方、後続選手達によるレースだが、篠塚、西村、榊間、高橋とバラバラでフィニッシュ。まもなく京都を巣立つ篠塚が素晴らしい走りを見せた。「東後さんにピッタリくっついてただけだったんですけどね」とはいえ、京大生活の有終の美を飾るにふさわしい闘いぶりだた。その後ろでは2周回終了時から矢澤、松村、井上が熾烈なバトルを繰り返し、ラストの井戸峠で松村がスパート、井上は振り落とされるが矢澤が松村に最後まで執拗にくらいつき粘り勝ち、フィニッシュで松村は地団駄を踏むことになった。「矢澤って、しつこい奴なんですよ~くちゅん」(松村)。中盤までこれまでにない力走を見せた寺本は「目の前が真っ暗」になりながら必死にレースを終え、ぶったおれた。続いて福島、ブービーと最後尾は仲良く競技部主将・井上と主務・青石が引き受け、トップのフィニッシュから16分5秒後、第6戦の幕が閉じた。
お次はエイプリルフールだ!
春風を受け、それぞれにシーズン前の自己の走りを再確認した選手達。レース後、サンダイコーでの雰囲気は終始なごやか。中西は「ういんなーでっす(ウィナーにひっかけてるわけ)」とだじゃれを飛ばすは、東後は矢澤から「ほわいとでーのお返しでっす」と究極のマニア本「すちゃらか天国(やったっけ)」をゲットするはでご満悦。めでたいめでたい。
ということで、次回第7戦は平日開催のエイプリルフールでぃっ!たくさんの参加、待ってます。(岡崎れい子)